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地域医療日誌

変化しつづける地域でともに悩み、考える医療

認識の谷間に灯をともす

日誌 本の紹介
  • 伝えたいこと? 
  • 楽しさを伝える
  • わかりやすさの限界は中学で学んでいた  

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 ブログを開設して8年。これまでをふりかえりながら、地域医療日誌のあゆみ - 地域医療日誌 by COMET を書いてみて、考えたことを少し書き留めておきたいと思います。

 

伝えたいこと? 

 開設当時、ブログを通して発信したかったことは、一体何だったのでしょうか?

 あまりよく思い出せないのですが、何かを伝えたいというよりも、誰にも読まれなくてもいいから書き残しておきたい、という気分だったように思います。

 

 それからというもの、ぼくの仕事の環境は様変わりし、心境も当時のものからは大きく変化しています。ブログで伝えようと思っていることも、微妙に変化してきているように思います。

 

 最近、感じていることといえば、こんなところでしょうか。

  • 医療の効果を調べてみると、案外がっかりする。
  • それをまとめてわかりやすく紹介することは、簡単ではない。
  • ここに書けないこと(個人情報など)はたくさんあってもどかしい。
  • そもそも簡単にわかりやすくすることに、どんな意味があるのか?
  • コトバにできないことに価値があるが、そこには迫れていない。

 

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認知症予防にサアミオンですか?

3. 診断や治療についての疑問
公開日 2014-10-19, 最終更新日 2016-08-29

質問

 認知症予防に処方されたサアミオンは、このままずっと飲んでいたほうがよいですか?

  • 残った脳代謝改善薬
  • サアミオンで認知症予防?
    • メタ分析(Fioravanti, 2001年) *1
  • それから

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残った脳代謝改善薬

 1998年5月、歴史的なできごとが起きています。

 厚生労働省中央薬事審議会常任部会が、脳循環代謝改善薬イデベノン、塩酸インデロキサジン、塩酸ビフェメランおよびプロペントフィリンの4成分14品目の再評価を審議し、「有効性なし」との答申を行ったのです。

 

 よく使われていた薬が、実は効かなかったため回収されるというとんでもない事態です。

 現場はかなり混乱したようです。当時の混乱の様子はこちらから伺えます。

日医ニュース
脳循環代謝改善薬の承認取消
日医、薬事行政の抜本的改革を要望

 

 厚生労働省が、効果がなかった薬を承認取り消しと英断したのに、医師と患者との信頼関係が崩れると抗議する日本医師会の主張が、まことに滑稽に見えます。

 薬は効果がなくてもいいから、それより関係が大事だ、ということがはっきり明言されたわけですから。

 

 さらに、承認されれば効果があるものとして使用してよいと考えていたこと自体、信頼性を裏切る行為であり、医師の専門性を放棄していることになるように思えます。

 

 今考えると、この事件はひとつの象徴的なできごとでした。ここでもう少し歴史を紐解いてみたいところですが、時間もありませんし、先に進みます。

 

サアミオンで認知症予防?

 さて、この事件で同系統でありながら承認取り消しとならなかった薬のひとつが、ニセルゴリン(商品名:サアミオン)です。

 いまだに処方されることがある薬です。

 

 先日、認知症予防としてサアミオンが処方されている方から、外来で冒頭のような相談を受けました。

 脳代謝改善薬としての効果も眉唾ものだったように記憶していましたので、認知症の効果はいかがなものか・・・改めて調べてみました。

 

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人工知能で診断が変わる?

8. 医療の未来に関すること
  • ホワイト・ジャック
  • ワトソン

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 最近、人工知能を医療に活用した事例が報道されるようになってきました。

 最新技術に大きな期待と関心を寄せながらも、人工知能に仕事を奪われるのではないか と、心穏やかではない、という一面もあることでしょう。

 診断することは医者の仕事のひとつであり、それが脅かされようとしているわけですが、膨大な情報を集積して分析する診断の仕事は、むしろ人工知能のほうが得意でしょう。

 新しい技術を医療現場でうまく活用していきたいものです。

 

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検索者を想定した記事づくり?

日誌

検索者のニーズ?

 ぼくのブログにはGoogleやYahooなどの検索でたどり着いている人が多い、ということは以前から感じていました。

 そして人気記事の第1位にはあまり変動がないことも、うすうす気づいていました。その記事はこちら *1

www.bycomet.tokyo

 

 覚え書きの記事です・・・。

 これは読まれるだろう、と思って力を入れて書いた記事は閑散とし、気楽にさっと書いたものが長く読まれたりする、ということはよくあると聞いていましたが、まあブログとはそんなものなのでしょう。

 

 アクセスを増やすためには、特定の読者を想定するというよりは、検索者を意識した記事づくりが必要、ということになるのでしょうか。

 ぼくとしては、それもどうかなあ~という気分ですが、はるばるここまでたどり着いていただいたのに(運命的な出会いですよこれ)、がっかりして帰らないように、少しおもてなしができれば、という思いではあります。

 

どんな検索語で来たのか

 そこで一体どんな検索用語でたどり着いているのか、調べてみました。

 なんとなく嫌な予感がしたので調べなければよかったのですが、ついつい見てしまいました。

 はてなカウンターから。

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 周期性発熱やPFAPA症候群が圧倒的に強く、次にフェロベリン、フェルラ酸、サアミオンがつづきます。

 これらは売りのコンテンツではないのですが、こうした情報はネット上にはまだ少ない、ということなのでしょう。

 

 検索者を想定してこの情報をさらに充実させていく、という方針にはさすがに躊躇します。しかし、こうして外に向けて発信している以上、検索者(の要望)におもねることも必要でしょう。

 まあ、この検索語の結果は結果として認め、検索者を満足させるような話題選びというところに配慮しながらも、自由に書いていきたいと思います。

 

リライトでアクセス増加? 

 そう言っている間に、この記事の後半部分を追記して更新(リライト)してみました。

 検索用語「PFAPA症候群」でのGoogle検索では第2位となっており、アクセスも少し増えたようです。

 読まれ続けるには、古い記事を更新する努力も必要のようです。

*1:2016年7月29日時点

点鼻ステロイドで 身長が低くなりますか?

3. 診断や治療についての疑問 4. 医療の負の側面に関すること

 

喘息に対する吸入ステロイド

 吸入ステロイドで身長が低くなるか? については、過去に記事にしています。 こちらをご覧ください。

www.bycomet.tokyo

 

小児のアレルギー性鼻炎では

 それでは、 アレルギー性鼻炎で用いる点鼻ステロイドではどうでしょうか。

 あまりかわりがないのでは? と思っていましたが・・・。最近ランダム化比較試験の発表されていますので、ご紹介したいと思います。

ランダム化比較試験(Skoner, 2015年)*1

研究の概要

 通年性アレルギー性鼻炎のある3歳から9歳の小児に、トリアムシノロン 110 μg を1日1回12か月間点鼻すると、プラセボ1日1回点鼻に比べて身長の伸びは少なくなるか、について検討した二重盲検ランダム化比較試験。

 

主な研究結果

 299人の小児をランダムに割付、そのうち216人を追跡。

 1年間の身長の伸び(最小二乗法、267人対象)については、トリアムシノロン群では 5.65cmに対してプラセボ群では 6.09cmと、トリアムシノロン群で1年間に0.45cm 身長の伸びが少なかった(95%信頼区間 -0.78, -0.11)。

 

1年で0.45cm

 通年性アレルギー性鼻炎に対する点鼻ステロイドは1年間の治療で0.45cmの身長差があった、という結果です。

 ぼくはこの結果を聞くと、これではちょっと影響が大きいかもしれない、と感じます。

 

 冒頭に紹介した吸入ステロイドの記事では、長期使用すると成人の最終身長が1cm程度低くなる懸念がある、という結果でした。しかし、これらは気管支喘息に対する予防の話です。喘息発作によって救急受診や入院、そして死亡につながる疾患の予防であります。

 これに対して、アレルギー性鼻炎は命に関わることは少ない疾患です。

 

 効果に対してこの影響は釣り合うのか、よく考えて治療期間などを設定する必要があるかもしれません。

 少なくとも漫然と使うことはしないようにしたいものです。

 

*1:Skoner DP, Berger WE, Gawchik SM, Akbary A, Qiu C. Intranasal triamcinolone and growth velocity. Pediatrics. 2015 Feb;135(2):e348-56. doi: 10.1542/peds.2014-1641. PubMed PMID: 25624374.

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