地域医療日誌

地域医療日誌

変化しつづける地域でともに悩み、考える医療

4. 医療の負の側面に関すること

やはり抗精神病薬は安全ではなかった?

せん妄の治療には抗精神病薬がよいですか? - 地域医療日誌 につづきます。 セロクエルも? システマティックレビュー(2016年, El-Saifi) *1 セロクエルで死亡が多い 原因検索や非薬物療法を試みるのが基本 セロクエルも? 抗精神病薬の話題のついでに、20…

AYA世代特有の課題とその支援

AYA世代とは? AYA世代特有の課題 AYA世代のがん対策 AYA世代とは? 先日、自らが胃がん治療経験者でもあり、AYA世代と呼ばれる15~39歳のがん経験者を支援する活動をしている方にお話をうかがう機会がありました。 ところで、AYA世代ってどこかで聞いたこと…

反論も科学的に

いわゆる「医療否定本」について 反論は感情論ばかり 解熱薬で症状は長引く いわゆる「医療否定本」について ちょうど記事を書いたばかりのタイムリーな話題だったので、書いておきたいと思います。端緒となったのはBLOGOSのこちらの記事。 「医療否定本も抗…

放っておくことは思いやりですか?

「思いやり」という不思議な力 プラセボ群の予後 「思いやり」という不思議な力 地域医療ジャーナル 2017年6月号を発行しました。会員制のウェブジャーナルですが、記事も充実しておりますので、ぜひ読者登録の上、お読みいただければと思います。 cmj.publi…

7年猶予で本当にいいですか?

無益性の拡大解釈のゆくえ - 地域医療日誌 につづきます。 ブラックな医療業界 過重労働を政府が追認 応召義務とは 医師は例外に 医療業界は努力が足りない 医療現場の過重労働と無益性の拡大解釈 ブラックな医療業界 すでに限界に達している医療現場。これ…

無益性の拡大解釈のゆくえ

地殻変動がはじまっている 終末期の蘇生中止 無益性の拡大解釈が拡がる懸念 すべり坂 無益性の定義 いろいろと取りかかっている他の仕事に気をとられ、久しぶりにブログに戻ってきました。(ストック記事の予約投稿でブログは定期配信されています。) 地殻…

あわてて在宅酸素を導入する必要はない

ただ酸素を与えればいいのか? につづきます。 COPDではどうか? ランダム化比較試験(Albert, 2016年) *1 やはり差が出なかった! COPDではどうか? 急性心筋梗塞でさえ酸素の効果は微妙なところだということがわかりました。 慢性疾患ではなおさら、その…

かぜに抗菌薬が処方されなくなっている?

特定の抗菌薬使用量を2020年までに半減 抗菌薬はすでに現場では使われてない? 他の調査では40-60%、過半数が第3世代セフェム かぜに対して抗菌薬の効果があまり期待できないことは、このブログの読者のみなさまはすでにご存知かと思います。 今回はそのエ…

ただ酸素を与えればいいのか?

質問 SpO2が下がっているので、酸素が必要ですよね? すぐ準備します! 本当によく聞かれます 急性心筋梗塞の場合 メタ分析(Cabello, 2013年) *1 メタ分析(Cabello, 2016年) *2 酸素でも空気でも同じ結果だった 本当によく聞かれます よく聞かれる質問で…

どこからが広告で、どこからが誇大広告なのか?

医薬品等の広告規制に違反する? - 地域医療日誌 のつづき記事です。 広告の3要件 誇大な表現? 広告の3要件 ところで、法的には「広告」とはどのようなものと定義されているのでしょうか? 「薬事法における医薬品等の広告の該当性について」(平成10年…

医薬品等の広告規制に違反する?

NHK謝罪文からわかること - 地域医療日誌 睡眠薬で血糖値が下がる? - 地域医療日誌 のつづき記事です。 医薬品医療機器等法 誇大広告等 解説PDFから 医薬品等適正広告基準 睡眠薬(またはオレキシン受容体拮抗薬)を服用すると血糖値が下がる、という科学的…

NHK謝罪文からわかること

厚労省は口頭注意 NHK謝罪文 謝罪文からわかる問題点の要約 厚労省は口頭注意 NHK総合で2017年2月22日(水)午後7時30分から放送された番組「ガッテン!」の「最新報告!血糖値を下げるデルタパワーの謎 」。放送後、専門家や学会から内容に問題があるとの抗…

研究費をもらうといい結果が出やすいというのは本当ですか?

理想と現実 横断研究(Ahn, 2017年) *1 経済的支援があると3.6倍いい結果が出やすい 読者としてどうするか? 理想と現実 臨床研究とは特定の企業の利益を目的としたものではなく、あくまでも公平に行われているものと信じたいです。しかし、現実はそうでは…

読者との距離感を意識する(アンダーライン)

WELQの一件から またも朝日に タダより安いものはない? タッチポイントをふやすなら距離感を考える WELQの一件から 医療情報に関するブログやウェブマガジンなどを運営しているぼくにとって、昨年のあの一件の報道はちょっとした事件でした。 そのことにつ…

研究はひっそりと消えていく

どんな研究が中断されたのか? 後向きコホート研究(Kasenda, 2014年) *1 リクルート失敗が最大の原因 消えていった研究の数々 どんな研究が中断されたのか? 発表された2014年当時に読んで、おもしろそうなのでブログ記事にしようと思いながらも、そのまま…

薬の数が多いという問題ではない

ポリファーマシーの対処はうまくいかない 大量の残薬が! 板挟みのケアマネージャー ポリファーマシーの対処はうまくいかない 雑誌の紹介です。 南山堂|月刊誌「治療」の2016年12月号はポリファーマシー特集。【ポリファーマシー できること,難しいこと,…

難病の医療費はどこまで認められるのか?

難病法施行 拡大された経緯 指定難病とは 医療費の支給範囲は? 東京都福祉保健局が開催する、難病指定医の指定に係る研修を受講してきました。(写真は会場の明治大学です。) 難病法施行 難病の患者に対する医療等に関する法律(平成26年5月30日法律第50号…

日頃からポリファーマシーに疑問をもつ薬剤師必読の虎の巻

ポリファーマシー本で迷ったらこれ 情報提供がキモなのです ポリファーマシー本で迷ったらこれ 本の紹介です。 このブログに来られている方なら、すでに購入済みかもしれません。ポリファーマシー解決! 虎の巻 (薬局虎の巻シリーズ) についてです。 ポリファ…

睡眠薬を服用している人は喘息発作が3割多い

質問 喘息もちですが、睡眠薬って安全ですか? 英国のコホート研究データから 症例対象研究(Nakafero, 2015年) *1 喘息発作が3割多い ベンゾジアゼピンで喘息死亡が多い 英国のコホート研究データから ベンゾジアゼピン系の情報検索をしているときに、偶…

HPVワクチンの安全性について

国内の状況 海外の報告 システマティックレビュー(Gonçalves, 2014年) *1 レビュー(Nakalembe, 2015年) *3 レビュー(De Vincenzo, 2014年) *4 FIGO HPVワクチンは効果だけではなく、安全性も気になるところですね。ついでに少し触れておきましょう。 …

点鼻ステロイドで 身長が低くなりますか?

喘息に対する吸入ステロイド 小児のアレルギー性鼻炎では ランダム化比較試験(Skoner, 2015年)*1 1年で0.45cm 喘息に対する吸入ステロイド 吸入ステロイドで身長が低くなるか? については、過去に記事にしています。 こちらをご覧ください。 www.bycomet…

研究者も不正行為が多い

科学は黄信号? 研究不正の本 赤信号だった! 科学は黄信号? 科学者の研究不正が問題となっています。国民の科学に対する信頼性は黄信号(赤信号?)が灯っています。 ノバルティスファーマ社「ディオバン」の一件や「STAP細胞」が話題となり、記憶にまだ新…

安かろう、良かろうの医療へ

医療費の高騰をどうするのか 安かろう、悪かろうとは限らない 医療費の高騰をどうするのか 週刊誌や新聞やテレビもそうですが、いいかげんな情報を垂れ流していることが目につきます。 いちいち反論している余裕もありませんが、これは解釈がまちがっている…

ASIAの診断基準について

ASIAはHPVワクチンで多く発生していた - 地域医療日誌 につづきます。 ASIAのQ&A ASIAの診断基準 Shoenfeldさんのレクチャー ASIAのQ&A 前の記事で紹介したシステマティックレビューには、症例選択の条件としてこのように書かれていました。 Shoenfeldの診断…

ASIAはHPVワクチンで多く発生していた

質問 ASIAって何ですか? HPVワクチン提訴へ *2 厚生労働省 製薬会社 日本産科婦人科学会 エビデンスがない? ASIAとは何か? システマティックレビュー(Jara, 2016年) *6 ASIA発症も重症例もHPVワクチンで多い ぼくはワクチンの専門家はありません。日常…

ポリファーマシーはなくすべきか?

あれから新しい知見は? メタ分析(Johansson, 2016年) *1 メタ分析(Christensen, 2016年) *2 ポリファーマシーへの介入はうまくいっていない あれから新しい知見は? 不適切な投薬は不適切だ? - 地域医療日誌 の追跡記事です。 この記事を書いた時点で…

丸山ワクチン、参議院から

丸山ワクチンの怪 - 地域医療日誌 につづきます。 参議院の会議録から 参議院の会議録から 第095回国会 社会労働委員会 第3号、昭和五十六年十月二十七日(火曜日)の会議録から。前述した7月30日の衆議院から約3か月が経過した時点のものです。少し長…

丸山ワクチンの怪

効果がないので「有償」治験? 国会の審議はどのようなものだったのか? 衆議院の会議録から 覚え書きです。 最近、丸山ワクチンがなぜかしら話題になっているようです。週刊誌などを賑わすにはなにか思惑があってのことでしょう。注目しておきたいです。 丸…

医療は人を癒せるのか?

地域医療ジャーナルについて 秋の特別企画 新たな査読プロセス構築に向けて 地域医療ジャーナルについて ぼくが編集者(発行責任者)となっているウェブマガジン「地域医療ジャーナル」(2015年3月創刊)はすでにみなさんご存知のことと思います。 cmj.publ…

認知症はもっと早く治療すべき?

認知症に対する薬の効果は限定的 さらに早期の段階では? メタ分析(Fitzpatrick-Lewis, 2015年) *1 認知症に対する薬の効果は限定的 認知症については、これまでいくつかの記事を書きました。 認知症 の検索結果 - 地域医療日誌 認知症 の検索結果 - 地域…

ワーファリンを続けるのか、やめるのか

質問 静脈血栓塞栓症の再発予防でワーファリンをずっと内服していますが、高齢でも必要でしょうか? 静脈血栓塞栓症の予防 QThronbosis HAS-BLED 予防という理由で、漫然と続けられてしまう薬は多いものです。やめ時のタイミングの取り方や切り出し方が難し…

既存の情報とエビデンスのギャップを明らかにする

情報検索の前段階 既存の情報とのギャップを明らかにする ギャップを薬の情報で考えるとわかりやすい 情報検索の前段階 なぜ、エビデンス(ここでは、医学論文に基づく科学的知見のこと)は大衆に普及しにくいのか、について少し考えてみました。 まあ、情報…

伝染性単核球症+アモキシシリン=発疹?

質問 伝染性単核球症に対してアモキシシリンを投与すると、必ず発疹が出ますか? アンピシリン疹 後ろ向き観察研究(Chovel-Sella, 2013年) *2 アモキシシリンで3割 これからどうするか? アンピシリン疹 今回は、Epstein-Barrウイルス(EBウイルス)など…

まだ施設入居時にMRSA保菌検査しているの?

MRSA保菌者の特別扱いは不要 最近の研究から 横断研究(Mody, 2008年) *3 鼻腔培養では保菌者も見逃している MRSA保菌者の特別扱いは不要 高齢者介護施設の入居時に行われる健康診断で、いまだにMRSA *1 についての検査を求められることがあります。 施設入…

まだ薬の説明会に参加しているの?

今回は本の紹介です。 もしかするとこのブログの読者のみなさんは、すでに入手されたり、読破された方もおられるかと思います。重版となったようですが、遅ればせながらご紹介いたします。 薬のデギュスタシオン 製薬メーカーに頼らずに薬を勉強するために …

不適切な投薬は不適切だ?

薬が多くなると総死亡が多い - 地域医療日誌につづきます。ポリファーマシー、シリーズ最終回の予定です。 ポリファーマシーはなくすべき? システマティック・レビュー(Patterson, 2014年) *1 介入しても入院は少なくならず ここまでで、薬の数が多くなる…

薬が多くなると総死亡が多い

「薬漬け」問題について考える - 地域医療日誌 につづきます。 高齢者の約3割が5剤以上 5剤以上で総死亡が多い システマティック・レビュー(Fried, 2014年) *1 今回はポリファーマシー問題のなかで、「薬の数が多い」という点についてみていきたいと思…

「薬漬け」問題について考える

ポリファーマシーとは何か メタ分析(Patterson, 2014年)*2 メタ分析(Christensen, 2013年) *3 システマティック・レビュー(Fried, 2014年) *4 ポリファーマシーの定義 ジェネラリスト教育コンソーシアム(2012年) 治療(2014年) 地域医療の見え方 ポ…

やはりワクチンで自閉症は起きていなかった

ワクチンと自閉症の噂 自閉症(自閉症スペクトラム、ASD)の発症にワクチン、特に麻疹・おたふく・風疹(MMR、国内未承認)ワクチンが関与しているのではないか、という噂が古くから広まっていました。 しかし、科学的には立証されておらず、今のところ学術…

心臓病の予測は大げさだった

最近の論文から。 将来、心臓病など(動脈硬化性心血管疾患)にどれくらいかかりやすいかを予測し、治療や啓発に役立てるためのスコアは、いくつも発表されています。 実際の観察研究の結果から、この予測スコアの精度はどうだったかを検証したひとつの研究…

薬で交通事故を起こしやすくなりますか?

薬は認知症の原因になりますか? - 地域医療日誌のつづき記事です。 当初はここまでつづけるつもりもなかったのですが、芋づる式に論文が見つかり、また反響もあるようなので、もう少し書いてみます。 ベンゾジアゼピン系(BZD)は認知症のほかに事故が気に…

薬は認知症の原因になりますか?

手紙で13人に1人が薬をやめられる? - 地域医療日誌のつづき記事です。 ベンゾジアゼピン系(BZD)と呼ばれる薬は、睡眠薬として使用されるほかに不安障害、アルコール離脱症状、うつ病や統合失調症の補助療法などでも用いられる薬です。このBZDは依存性があ…

手紙で13人に1人が薬をやめられる?

睡眠薬は体によくないですよね? - 地域医療日誌 につづきます。 睡眠薬は体によくない、とわかっていても、なかなかやめられないことがあるようです。 ベンゾジアゼピン系(BZD)と呼ばれる薬は、睡眠薬として使用されるほかに不安障害、アルコール離脱症状…

残薬はどのくらいあるのか?

節薬バッグ 残薬はどのくらいあるのか? 処方されても使われなかった薬、いわゆる残薬は、国内でどれくらいあるのでしょうか。 日数通り処方していても、薬がかなり余っているとのことで、調整することはしばしばあります。本人から申告してもらえればわかる…

かぜ薬、5年間で死者12人

2012年の情報ですが、季節がらかツイッターで反響が大きかったので記事にしておきます。 “総合感冒薬の12例、解熱鎮痛消炎薬の4例、漢方製剤の2例で死亡が報告。”これは問題に鳴らないのか? / “【健百】市販薬による副作用、5年で1,220件―風邪薬がトップ | …

帯状疱疹には抗ウイルス薬は必要ですか?

帯状疱疹の痛みは自然に治りますか? つづき記事です。 神経痛は少なくならず、副作用がある メタ分析(Chen, 2014年)*1 帯状疱疹には抗ウイルス薬は必要ですか? 前回、帯状疱疹の痛みはほとんどが自然に治癒する、というコホート研究を紹介しました。 そ…

帯状疱疹の痛みは自然に治りますか?

早く治療をはじめたほうがよい? コホート研究(Helgason, 2000年)*2 ほとんど痛みは自然に消える 早く治療をはじめたほうがよい? 帯状疱疹については、いくつか誤解がありそうです。 製薬会社情報のため注意が必要ですが、参考までにこちらを。 帯状疱疹 …

抗不安薬や睡眠薬で早死しますか?

総死亡が3倍多い 後向きコホート研究(2014年) GPRD 最近のBMJ誌に掲載された論文をご紹介します。ベンゾジアゼピン系やZ薬などの抗不安薬・睡眠薬の弊害(有害事象)についての報告です。 引用する文献の導入部分には、このように書かれています。 Eviden…

吸入ステロイドで身長が低くなりますか?

タイムリーな新聞記事 日本小児アレルギー学会の重要なお知らせ 2つの報告 年間1.5cm低くなる? メタ分析(2000年) 問題の契機となった2つの報告 コホート研究(CAMP, 2012年) コホート研究(PEAK, 2011年) 長期の影響ははっきりしない 身長か入院か? …

まだ体質は変わっていないのですか?

金銭と捏造ふたたび 横浜市立大学の事件 Wikipedia 最終報告書(2008年7月) 懲戒処分されたのに名誉教授? 東京大学医科学研究所の事件 第三者委員会報告書(2008年9月) 懲戒処分後に科研費獲得? 体質は変わっていないのですか? 金銭と捏造ふたたび ブ…

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