地域医療日誌

新しい医療のカタチ、考えます

少しぽっちゃりでもいいですか? BMIは20-25が理想的

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これで体重論争に決着がついたのか?

 どのくらいの体重が適正なのか、これまでいくつもの研究が発表されてきました。

 当ブログでもこれまでいくつかの記事にしてきました。

BMI 25.1-27.5が死亡率最低 - 地域医療日誌 by COMET

糖尿病、BMI30-35が死亡率最低 - 地域医療日誌 by COMET

肥満は本当に危険なのか? - 地域医療日誌

 

 いずれも従来から標準的と言われてきた体重よりも、適正な体重は上にあることが報告されています。

 さらにまた今年、ひとつのメタ分析が発表されています。どんな結果になっているでしょうか? 確認しておきましょう。

メタ分析(Global BMI Mortality Collaboration, 2016) *1

研究の概要

 過体重や肥満の人はそうでない人に比べて総死亡が多くなるか、という予後の疑問について検討したメタ分析。

 

主な結果

 アジア、オーストラリア・ニュージーランド、ヨーロッパ、北アメリカで行われた239の前向き研究(追跡期間の中央値 13.7年)の参加者 10,625,411人が対象。このうち189研究、3,951,455人は研究参加時に慢性疾患のない5年以上生存している非喫煙者で、そのうち385,879人が死亡。

 

 総死亡はBMI 20·0–25·0 kg/m² が最小であった。

BMI 15·0–18·5kg/m² ハザード比 1·51, 95%信頼区間 1·43, 1·59
BMI 18·5–<20·0 kg/m² ハザード比 1·13, 95%信頼区間 1·09, 1·17
BMI 20·0–<22·5 kg/m² ハザード比 1·00, 95%信頼区間 0·98, 1·02
BMI 22·5–<25·0 kg/m² ハザード比 1·00, 95%信頼区間 0·99, 1·01
BMI 25·0–<27·5 kg/m² ハザード比 1·07, 95%信頼区間 1·07, 1·08
BMI 27·5–<30·0 kg/m² ハザード比 1·20, 95%信頼区間 1·18, 1·22
BMI 30·0–<35·0 kg/m² ハザード比 1·45, 95%信頼区間 1·41, 1·48
BMI 35·0–<40·0 kg/m² ハザード比 1·94, 95%信頼区間 1·87, 2·01
BMI 40·0–<60·0 kg/m² ハザード比 2·76, 95%信頼区間 2·60, 2·92

 

 BMI 25·0 kg/m²以上では総死亡のハザード比は 5 kg/m² あたり

ヨーロッパ 1·39 (95%信頼区間 1·34, 1·43)
北アメリカ 1·29 (95%信頼区間 1·26, 1·32)
東アジア 1·39 (95%信頼区間 1·34, 1·44)
オーストラリア・ニュージーランド 1·31 (95%信頼区間 1·27, 1·35)

 単位あたりの総死亡ハザード比は年齢が若い、男性でより高い傾向がみられた。

 

BMIは20-25が総死亡少ない

 このメタ分析では1千万人以上のデータを利用して集計したものです。ここでもやはり、BMI 20-25kg/m² の総死亡がリスクが最小となっています。

 20未満でも25以上でも、総死亡のリスクは高くなっていく、いわゆる「U」カーブ状となっています。とはいえ、やせに比べて過体重から肥満のほうがカーブは緩やかとなっています *2

 

 まあ、これで一定の決着がついたところかもしれません。BMI 25前後なら、それほど気にすることはない、というのが科学的見解となるでしょう。

 

*1:Global BMI Mortality Collaboration. Body-mass index and all-cause mortality: individual-participant-data meta-analysis of 239 prospective studies in four continents. Lancet. 2016 Aug 20;388(10046):776-86. doi: 10.1016/S0140-6736(16)30175-1. Epub 2016 Jul 13. PubMed PMID: 27423262; PubMed Central PMCID: PMC4995441.

*2:日本ではBMI 40以上の極度な肥満は少ないですから、「し」のカーブに近い形です。

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