3千万人の調査から
身長と体重から算出する指標 Body Mass Index (BMI)と総死亡の関係については、これまでもいくつか取り上げてきました。
今回はさらに対象者が多いシステマティックレビューとなっています。
システマティックレビュー(Aune, 2016年) *1
研究の概要
BMIが高い人(喫煙状況による層別)は総死亡が多くなるのか、を検討した、コホート研究のシステマティックレビュー+メタ分析。
主な結果
230のコホート研究の結果を統合。すべての喫煙状況を含めた228研究(30,233,329人)の結果は以下のとおり。
BMI 総死亡の相対危険(95%信頼区間)
15 2.24 (2.15, 2.34)
16 1.83 (1.77, 1.91)
17.5 1.47 (1.43, 1.51)
20 1.15 (1.13, 1.17)
22 1.03 (1.02, 1.04)
23 1
24 0.98 (0.97, 0.99)
25 0.97 (0.96, 0.98)
27.5 0.98 (0.96, 1.01)
30 1.04 (1.00, 1.08)
32.5 1.14 (1.09, 1.20)
35 1.29 (1.21, 1.37)
37.5 1.49 (1.37, 1.61)
40 1.74 (1.59, 1.91)
42.5 2.07 (1.86, 2.30)
45 2.49 (2.22, 2.81)
BMIが5ユニット増加するごとの総死亡の相対危険は
非喫煙者 1.18(1.15, 1.21)
健康な非喫煙者 1.21(1.21, 1.25)
健康な非喫煙者 *2 1.27(1.21, 1.33)
全て 1.05(1.04, 1.07)
総死亡が少ないのはBMI 24-27.5
この結果からは、全体ではBMI 24-27.5において総死亡が最も少ない、という結論になりそうです。
また、非喫煙者ではBMI 23-24、健康な非喫煙者では22-23、非喫煙者(20年以上追跡した研究に限定)では20-22、となっています。
結論はほぼ決定的か
ここ数年のコホート研究やそのメタ分析から、ちょうどよいBMIは 20-27.5 の間にあることは間違いないですが、22ではなく、それよりもやや25寄りのあたりにありそうだ、ということになるでしょうか。
Jカーブ型(あるいは「し」のカーブ型)になっていますので、総死亡が少なくなる「谷間」には幅が比較的ありそうです。
ある程度の幅をもったとしても、BMI 20-27.5のあたりまでは許容したい、といったところがぼくの個人的感想です。
みなさんのご意見やBMIは、いかがでしょうか?
*1:Aune D, Sen A, Prasad M, Norat T, Janszky I, Tonstad S, Romundstad P, Vatten LJ. BMI and all cause mortality: systematic review and non-linear dose-response meta-analysis of 230 cohort studies with 3.74 million deaths among 30.3 million participants. BMJ. 2016 May 4;353:i2156. doi: 10.1136/bmj.i2156. PubMed PMID: 27146380; PubMed Central PMCID: PMC4856854.
*2:6年以下の短期の追跡研究を除外