地域医療日誌

新しい医療のカタチ、考えます

爪白癬の新しいぬり薬は効きますか?

 

 日本初の爪白癬に適応のある外用薬が、最近発売されています。


クレナフィン情報サイト - clenafin.jp | 科研製薬株式会社


クレナフィン爪外用液(エフィコナゾール)発売!~日本初の外用爪白癬治療薬 - 薬剤師の脳みそ

 

 これまでは内服薬で治療するしかありませんでしたが、副作用も多いため治療に踏み切れないこともしばしば。

 そこで、新しい外用薬とあれば、多いに期待したいところです。効果と副作用はどうでしょうか?確認してみました。

 

ホームページから

 

 先ほどの、製薬企業のホームページに第Ⅲ相試験の論文情報と結果が掲載されていました *1。こちらをよんでみましょう。

ランダム化比較試験(Elewski, 2013年)*2

  • P▶ 足趾の爪白癬がある患者に
  • E▶ エフィコナゾール10%を48週間塗布すると
  • C▶ 基剤のみに比べて
  • O▶ 治療開始52週後の完全治癒率は高いか
  • T▶ 治療、ランダム化比較試験(3:1、二重盲検)

《結果》※※※

対象患者数 [study 1: N = 870, study 2: N = 785]

study 1(ITT解析) E群▶ 17.8%、C群▶ 3.3%

study 2(ITT解析) E群▶ 15.2%、C群▶ 5.5%

いずれも有意差がみられた。

 

1年で1割程度

 

 ランダム化比較試験を2つに分けて実施されていますが、研究デザインは同じようです。なぜこのようなデザインとなったのかは不明です。日本人のデータはstudy 1に入っているようです。

 

 完全治癒率でみると1年間で1割程度ですから、外用薬にはまだまだ効果があると胸を張って言えるレベルではなさそうです。

 さらに、プラセボでも数%程度の完全治癒がみられています。自然治癒もみられるのでしょう。

 有害事象はほぼ同等でした。

 

 抄録にはこのようにあります。

LIMITATIONS:

A period of 52 weeks may be too brief to evaluate a clinical cure in onychomycosis.

CONCLUSIONS:

Once daily topical efinaconazole appears to be a viable alternative to oral treatment options for onychomycosis.

 

 この結論にもあるように、経口薬を使えない場合に選択肢のひとつにはなるでしょう。さらに長期間経過観察すると治癒率が上がるのか、今後の検討を待ちたいところです。

 

爪白癬の新しいぬり薬は効きますか?

エフィコナゾールの第Ⅲ相試験(ランダム化比較試験)がある。

1年間投与して15~17%程度の完全治癒がみられる。

経口薬が使用できない場合に選択肢のひとつとなりうる。

 

*1:クレナフィン・臨床成績 1.国際共同第Ⅲ相試験 - clenafin.jp | 科研製薬株式会社

*2:Elewski BE, Rich P, Pollak R, Pariser DM, Watanabe S, Senda H, Ieda C, Smith K, Pillai R, Ramakrishna T, Olin JT. Efinaconazole 10% solution in the treatment of toenail onychomycosis: Two phase III multicenter, randomized, double-blind studies. J Am Acad Dermatol. 2013 Apr;68(4):600-8. doi: 10.1016/j.jaad.2012.10.013. Epub 2012 Nov 20. Erratum in: J Am Acad Dermatol. 2014 Feb;70(2):399. PubMed PMID: 23177180.

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