地域医療日誌

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地域医療日誌

変化しつづける地域でともに悩み、考える医療

認知症にも鍼治療が効く?

3. 診断や治療についての疑問
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質問

 認知症にも鍼治療が効くって本当ですか?

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 まさか、そんなことがあるのでしょうか?

 調べてみたところ、何と2015年にメタ分析が発表されていました!さっそく論文を読んでみました。

 

鍼治療のメタ分析

メタ分析(Zhou, 2015年) *1

研究の概要

 アルツハイマー病と診断された人が鍼治療を受けると、薬物療法または鍼治療なしと比べて、認知機能や重症度、ADLなどに差がつくのか、を検討したランダム化比較試験のメタ分析。

 

主な結果

 10研究、585人の患者が対象。各研究のサンプルサイズは16-49人、年齢は46-81歳で、すべての報告が中国からのもの。

 割り付けの隠蔽が明記されていない、マスキングがなされていないなど、研究の質は低い。治療期間は3~24週間。

 鍼治療と薬物療法の比較では、MMSE(6研究)の平均差は1.05(95%信頼区間 0.16, 1.93)と鍼治療群のほうがやや良く、HDS-R(2研究)ではほぼ同等。ADLスコア(4研究)の平均差は-2.80(95%信頼区間 -4.57, -1.43)と鍼治療群のほうがやや良い。

 

 論文の導入部分にこのような記述があります。くどいかもしれませんが、誤解されているかもしれませんので、繰り返しておきます。

At present, no medical treatment can stop or reverse the progression of AD.

 

 現状では、アルツハイマー病を治したり進行を食い止めることのできる治療はありません。それでは、鍼治療ではどうか、という検証になっています。

 

認知機能がやや良いかもしれない

 全般的に研究の質が低く結果の信頼性には欠けますが、少なくとも鍼治療は薬物療法に比べて、認知機能が若干良い可能性が示唆された、ということになるでしょう。

 ただし、MMSEで1点の差というと、統計学的に有意差があったとしても、臨床的意義は小さい差に過ぎません。

 

 ちなみに、鍼治療と鍼治療なしとの比較では、それぞれ1研究の報告があるのみですが、MMSE(1研究)の平均差は 3.74(95%信頼区間 1.34, 6.14)と鍼治療群のほうが良く、ADLスコア(1研究)は -8.82(95%信頼区間 -19.83, 2.19)と鍼治療群のほうが良い傾向がみられています。

 薬物療法と比べるより、差が開いている印象でしょうか。

 

 このメタ分析の結果だけで判断することは難しそうですが、より厳格なランダム化比較試験での検証が必要でしょう。今後に期待したいところです。

 

*1:Zhou J, Peng W, Xu M, Li W, Liu Z. The effectiveness and safety of acupuncture for patients with Alzheimer disease: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Medicine (Baltimore). 2015 Jun;94(22):e933. doi: 10.1097/MD.0000000000000933. Review. PubMed PMID: 26039131; PubMed Central PMCID: PMC4616366.

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