地域医療日誌

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花粉症に効く食べ物はないですか?(2)

 花粉症に効く食べ物はないですか?(1)つづき記事です。

乳酸菌は効く?

 

 最近は乳酸菌がよく話題になっていますが、花粉症にはどうでしょうか。まずは日本の論文をひとつ見てみましょう。

ランダム化比較試験(Kawase M, 2009年)*1

  • P▶ スギ花粉症がある神奈川県在住者に
  • E▶ Lactobacillus GG, L. gasseri TMC0356を含む乳酸菌飲料(LGG-TMC0356)を10週間飲用すると
  • C▶ プラセボヨーグルトと比べて
  • O▶ 症状スコア、薬物スコア、症状薬物スコアは低くなるか
  • T▶ 治療、ランダム化比較試験

《結果》※※※

 ランダム割付された44人のうち、22人がLGG-TMC0356、22人がプラセボに割り付け。脱落4人(それぞれ1、3人)を除外した40人を解析。

 LGG-TMC0356群で9週間後に鼻閉の平均症状スコアが有意に低下し、9、10週間後の平均症状薬物スコアも有意に低下。

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 一次アウトカムの明確な記載はないようでしたが、評価に用いられている症状スコア、薬物スコア、症状薬物スコアは診療ガイドラインの重症度分類と同じもののようです。*2

 

 症状スコアは9週目のみで有意差がついていますが、平均スコア差は1点以下となっています。非常に微妙な差のようによめます。

 

 この研究はタカナシ乳業株式会社からの報告です。ホームページ*3を確認すると、発酵乳の商品ラインナップにLGG乳酸菌の商品が並んでいます*4

 

 こちらの論文はROCKY NOTE*5でも紹介されています。

 

 さらに、2013年にはランダム化比較試験のシステマティック・レビューが発表されています。こちらは気管支喘息が含まれています。

システマティック・レビュー(Das RR, 2013年)*6

  • P▶ アレルギー関連呼吸器疾患(アレルギー性鼻炎、気管支喘息)患者に
  • E▶ 通常治療に加えて乳酸菌を投与すると
  • C▶ プラセボに比べて
  • O▶ 治療後のQOLスコアは低いか
  • T▶ 治療、システマティック・レビュー

《結果》※※※

 該当する12研究のうち、QOLスコアを評価したものは2研究(対象170人)のみ。QOLスコアは乳酸菌群で標準化平均差(SMD)−1.9(95%信頼区間−3.62, −0.19)。結果には異質性が認められ、解釈には注意が必要。

 

 乳酸菌群はQOLで評価するとプラセボよりわずかによい、という結果でしょう。それにしても微妙な結果で、解釈が難しいところです。研究もまだ少ないようで、効果を適正に判断するにはさらなる情報蓄積が必要なのかもしれません。

 

つづく

花粉症に効く食べ物はないですか?(3)

 

*1:Kawase M, He F, Kubota A, Hiramatsu M, Saito H, Ishii T, Yasueda H, Akiyama K. Effect of fermented milk prepared with two probiotic strains on Japanese cedar pollinosis in a double-blind placebo-controlled clinical study. Int J Food Microbiol. 2009 Jan 15;128(3):429-34. doi: 10.1016/j.ijfoodmicro.2008.09.017. Epub 2008 Oct 7. PubMed PMID: 18977549.

*2:鼻アレルギー診療ガイドライン ―通年性鼻炎と花粉症― 2005年版(改訂第5版)アレルギー性鼻炎の分類(Classification of allergic rhinitis)http://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0024/G0000062/0023

*3:タカナシ乳業株式会社 http://www.takanashi-milk.co.jp/index.html

*4:発酵乳 http://www.takanashi-milk.co.jp/products/p_hakkou/index.html

*5:アレルギー性鼻炎と乳酸菌(110329) http://rockymuku.sakura.ne.jp/zibika/arerugi-seibienntonyuusannkinn.pdf

*6:Das RR, Naik SS, Singh M. Probiotics as additives on therapy in allergic airway diseases: a systematic review of benefits and risks. Biomed Res Int. 2013;2013:231979. doi: 10.1155/2013/231979. Epub 2013 Jul 15. PubMed PMID: 23956972; PubMed Central PMCID: PMC3727208.

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