地域医療日誌

地域医療日誌

変化しつづける地域でともに悩み、考える医療

細気管支炎には吸入がよい? よく使われる気管支拡張薬の効果

スポンサーリンク

質問

 乳幼児の急性細気管支炎には「気管支拡張薬」の吸入をしたほうがよいですか?

 

3%高張食塩水は有効

 過去の関連記事(改訂されています)では「3%高張食塩水」の吸入が有効、というコクランのメタ分析を紹介しています。

www.bycomet.tokyo

 

 その後も高張食塩水のランダム化比較試験はいくつか発表されているようですが、大きな結論の修正までは至っていないようです。

 

気管支拡張薬は?

 

 さて、それでは「気管支拡張薬」の吸入もしたほうがよいのでしょうか。調べてみたところ、やはりこちらもコクランのメタ分析がありました。

メタ分析(Gadomski, 2014年) *1

研究の概要

 細気管支炎を発症した生後24か月までの乳幼児に気管支拡張薬 *2 を使用(吸入、内服、皮下注射)すると、パルスオキシメーターで測定した酸素飽和度は改善するか、について検討した研究。

 症状スコアや入院などは1次アウトカムではないことに注意が必要。

 30のランダム化比較試験(参加者数1,992人)の結果を検討。研究の質(リスクオブバイアス)では小規模研究であること、細気管支炎の定義(初回喘鳴と再発喘鳴の区別など)、治療やアウトカム判定が定まっていない、などの問題がある。

 

主な結果 

1次アウトカム
  • 酸素飽和度(25研究)は平均差 -0.43(95%信頼区間 -0.92 to 0.06)と統計学的にも臨床的にも同等であった。
その他のアウトカム
  • 臨床症状スコア改善(7研究)は気管支拡張薬群で64%、プラセボ群で27%(オッズ比 0.18、95%信頼区間 0.06 to 0.50)と気管支拡張薬群で多い。
  • 入院(11研究)は気管支拡張薬群で11.9%、プラセボ群で15.9%(オッズ比 0.75、95%信頼区間 0.46 to 1.21)と気管支拡張薬群でやや少ない傾向がみられた。

 

 この研究では1次アウトカムが酸素飽和度という「代用のアウトカム」に設定されていました。残念ながら、この1次アウトカムでは両群ともほぼ同等、という結果となります。

 しかし、2次アウトカムがいくつか設定されており、そのうちの臨床症状スコア改善、入院については、気管支拡張薬群でやや有利な結果とはなっています。

 論文の結論ではほとんど効果がない、と書かれていますが、そこまで言い切ってよいのかどうか、若干疑問も残ります。

 採用された研究の質は必ずしも高くなく、古い研究も含まれているため、結論を出すのは限界もあるでしょう。今後の検討が待たれるところです。

 

細気管支炎には吸入がよい?

  • 3%高張食塩水の吸入は効果があるとする研究がいくつかある。
  • 気管支拡張薬の吸入は自覚症状や入院が少ない傾向もみられるが、さらに検証が必要である。

 

*1:Gadomski AM, Scribani MB. Bronchodilators for bronchiolitis. Cochrane Database Syst Rev. 2014 Jun 17;6:CD001266. doi: 10.1002/14651858.CD001266.pub4. Review. PubMed PMID: 24937099.

*2:albuterol, salbutamol, terbutaline, ipratropium bromide and adrenergic agents

 Copyright © 2003, 2007-2017 地域医療ジャーナル