地域医療日誌

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手紙で13人に1人が薬をやめられる?

 
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 睡眠薬は体によくないですよね? - 地域医療日誌 につづきます。

 

 睡眠薬は体によくない、とわかっていても、なかなかやめられないことがあるようです。

 ベンゾジアゼピン系(BZD)と呼ばれる薬は、睡眠薬として使用されるほかに不安障害、アルコール離脱症状、うつ病や統合失調症の補助療法などでも用いられる薬です。このBZDは依存性があるせいか、長期使用が問題視されています。

 

 それがなんと、簡単な手紙などの情報提供や助言でやめられるのではないか?という疑問を検討した研究がありましたので、確認しておきましょう。

メタ分析(Mugunthan, 2013年) *1 *2

P▶ 治療のために3か月以上BZDを服用している18歳以上の成人が
E▶ 家庭医からのBZD減量・中止に関する手紙や情報提供、家庭医との面談など、最小限の介入を受けると
C▶ 通常の診療に比べて
O▶ BZDを減量・中止する人が多いか
T▶ 治療、システマティック+メタ分析

《結果》★★☆ *3
 3つのランダム化比較試験(n=615、平均年齢60歳以上)を統合。

  • BZD減量・中止はC群に比べてE群で2.1倍(95%信頼区間 1.5-2.9)多い。
  • BZD減量についてはE群 34%、C群 16%となり、6か月時点での治療必要数 NNT=6(95%信頼区間 4-13)。
  • BZD中止についてはE群 14%、C群 6.1%となり、6か月時点での治療必要数 NNT=13(95%信頼区間 6-57)。

 

 家庭医にBZDの減量・中止を呼びかけられるだけで、6人に1人がBZDを減量し、13人に1人がBZDを中止するという結果になっています。

 この結果は予想以上に大きいと感じます。

 

 どのような内容の情報提供だったのでしょうか。論文ではこのような説明となっています。

  • 長期間の睡眠薬の使用には懸念がある
  • 睡眠薬の潜在的な副作用について
  • 離脱症状が出にくいようなBZD減量・中止方法の助言

 

 基本的なことですが、副作用についての情報提供がなされ、離脱症状が出ないようにやめられるよう助言や支援を受けることで、BZD卒業の道が開ける、ということでしょう。

 

 ただしこのメタ分析は、BZDを減量・中止できるかという「代用のアウトカム」が検証されただけです。このような介入によって、BZDを長期服用している人の予後にどのような影響を与えるかについては、まだ明確になっていないことに注意が必要です。  

 

手紙で13人に1人が薬をやめられる?

  • BZDは漫然と長期間使用してしまうことが問題視されている。
  • 簡単な情報提供や助言を受けると、6人に1人がBZDを減量、13人に1人がBZDを中止するという報告がある。
  • このような取り組みによってBZDの長期使用を減らすことができるかもしれない。
  • BZDを減量・中止することで予後にどのような影響を与えるかについては、まだ明らかではない。

 

*1:Mugunthan K, McGuire T, Glasziou P. Minimal interventions to decrease long-term use of benzodiazepines in primary care: a systematic review and meta-analysis. Br J Gen Pract. 2011 Sep;61(590):e573-8. doi: 10.3399/bjgp11X593857. Review. Erratum in: Br J Gen Pract. 2013 Jan;63(606):12. PubMed PMID: 22152740; PubMed Central PMCID: PMC3162180.

*2:Primack BA. ACP Journal Club. Review: Minimal interventions (e.g., a letter) reduce long-term benzodiazepine use in primary care. Ann Intern Med. 2012 Feb 21;156(4):JC2-08. doi: 10.7326/0003-4819-156-4-201202210-02008. PubMed PMID:22351734; PubMed Central PMCID: PMC3578286.

*3:研究デザインの質を★☆☆低~★★★高の3段階で評価

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