地域医療日誌

新しい医療のカタチ、考えます

かぜは寝て待て

質問

 かぜで医療機関を早めに受診したほうがよいですか?

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 かぜをひくと早めに市販薬を準備したり、医療機関を受診したりする人がたくさんいます。薬局や医療機関に行くと、薬をすすめられることもあるでしょう。

 でも本当にその必要はあるのでしょうか?

 

かぜをひいても何もする必要はありません

 ずいぶん前、ぼくがブログに記事を書いたことがありました *1。あれから6年経過していますが、いまだに回答はほぼ変わりがありません。

  • かぜをひいても何もする必要はありません。(もちろん「早めの市販薬」も不要です。) 多くの場合、かぜは重い病気を引き起こすことはありません。
  • かぜを治す薬はありません。症状を一時的に軽くする薬はありますが、副作用もあるため、特に小児や高齢者には一般的におすすめしません。

 

こんなときには医療機関の受診を

 どんな時に医療機関を受診したほうがよいのかについては、海外の情報 *2 *3 *4 のほうが論理的でよくまとまっています。ここにまとめてみました。

  • ふだんのかぜに比べてよくならない場合や10日以上よくならない場合
  • 高熱
  • 耳の痛みがよくならない
  • 喘鳴がある
  • 頭痛、顔面や目の痛み
  • 首が硬い
  • 息切れや呼吸が早くなる
  • 胸が痛い
  • たんに血が混じる、濃いたん、さび色のたん
  • せきが3-4週間以上つづく
  • 不眠、錯乱、傾眠状態
  • かぜがすぐにぶり返す
  • ほかに心配な症状がある
  • 基礎疾患がある(ぜんそく、肺疾患やその他の疾患)

 

 こうした条件にならない限りは、家でゆっくり休んでいるだけでよい、ということになります。 

 

エビデンスは?

 薬や薬以外の対処法など、かぜ全般の治療に関する科学的情報源(エビデンス)については、これまでぼくがいくつか書いています。

 興味のある方は、リンク先の情報をご参照ください。

連載「かぜの研究」(閲覧には読者登録が必要)
かぜの研究 / 記事テーマ / 変質しつづける学びのカタチ / 地域医療ジャーナル


ブログの過去記事から

2歳未満にはかぜ薬を使用しない - 地域医療日誌 by COMET

かぜ薬、5年間で死者12人 - 地域医療日誌

かぜに抗菌薬が処方されなくなっている? - 地域医療日誌

 

「かぜ」カテゴリーつくりました

かぜ カテゴリーの記事一覧 - 地域医療日誌

 

まずはやってみよう

 いつもかぜをひくとすぐに薬や医療機関に頼っている人は、何もしないのは不安かもしれません。

 まず、一日何もせずに様子をみてみましょう。我慢できそうなら、そのまま次の日もやってみましょう。

 数日もすれば、症状がよくなってくるのが実感できるはずです。

 

 具合が悪い時に外出しなければご本人が楽なだけではなく、他の病原体をもらってしまうことも、他人にうつしてしまうことも、予防できます。

 さらに、お金や時間も節約できるはずです。

 まず、一日何もせずに様子をみるところから、やってみましょう。

 

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