地域医療日誌

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地域医療日誌

変化しつづける地域でともに悩み、考える医療

家族介護の負担の大きさ

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英国の認知症介護事情を垣間みる

 

 増加しつづける認知症患者の介護をどうするのか?介護する家族の負担が大きく、問題となっています。

 介護者をどのように支援するか、という研究も行われてきています。2013年に発表された研究の序文に、英国の認知症介護事情について書かれていましたので、今回はこの序文をご紹介します。

ランダム化比較試験(Livingston, 2013年)*1

Introduction

  • In the United Kingdom, dementia care is estimated to cost £23bn per year, and this is projected to treble in the next 30 years as the number of older people increases.
  • Families and individuals bear the biggest burden; two thirds of people with dementia live at home and receive most of their care from family members, who therefore save the economy a considerable amount of money.
  • About 40% of carers of family members with dementia have clinically significant depression or anxiety, and others have significant psychological symptoms.
  • The psychological morbidity of carers predicts a breakdown in care and therefore the need for placement in a care home as well as elder abuse.
  • Thus improving the psychological health of the carers may not only improve their quality of life but also that of the recipient of their care.

 

英国では3.9兆円に

 

 英国では認知症患者の介護に現状で年間約3.9兆円の費用が発生していると試算されています。今後30年でさらに増加することが見込まれています。

 認知症患者の3分の2は自宅にいるため、家族の介護負担が大きくなっています。介護者の40%にうつや不安がみられている、とのことです。高齢者虐待や施設ケアへつながることがあり、どのように家族を支えていくか、模索している様子です。

 

 このような事情は日本も似ているのではないでしょうか。

 

日本では10兆円?

 

 日本でも実態調査がはじまっているようです。ヨミドクター(2014年2月11日 読売新聞)から一部引用します。

[社会的費用]家族介護の負担 金額換算 *2


 この実態調査は、厚生労働省研究班の「認知症の社会的コスト推計」研究の一環だ。研究班代表を務める佐渡医師は「社会全体でどれくらいの負担があるのかを明らかにし、限られた資源を効率的に使い、家族介護の負担軽減策など必要な政策につなげていくのが狙い」と説明する。 認知症の「社会的費用」は、医療・介護費などの直接費用と、家族による無償のケアの間接費用を合算して算出する。

 認知症の社会的費用については、英国や米国などで既に試算され、政策に活用されている。世界保健機関(WHO)は12年、「10年時点で世界で6040億ドル(約62兆円)に上る」とし、今後の急増への対応を各国に求めた。

 日本では、これまでのデータから医療費は数千億円、公的介護費は6兆~7兆円程度。家族介護などの間接費用を既に試算している英国並みと仮定すると、全体で10兆円を超す可能性がある。

 

  日本ケアラー連盟のウェブサイトには、この調査協力についてのお願いが掲載されていました。

日本ケアラー連盟/Carers Japan *3


「わが国における認知症の経済的影響に関する研究」へのご協力のお願い

 

 社会的にも大きな問題です。家族介護の負担をどのように軽減していくか、これからの高齢者サービス全体像を踏まえて、考えていかなければならないでしょう。

 

*1:Livingston G, Barber J, Rapaport P, Knapp M, Griffin M, King D, Livingston D, Mummery C, Walker Z, Hoe J, Sampson EL, Cooper C. Clinical effectiveness of a manual based coping strategy programme (START, STrAtegies for RelaTives) in promoting the mental health of carers of family members with dementia: pragmatic randomised controlled trial. BMJ. 2013 Oct 25;347:f6276. doi:10.1136/bmj.f6276. PubMed PMID: 24162942; PubMed Central PMCID: PMC3808082.

*2:http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=92764

*3:http://carersjapan.com/

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