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DPP-4阻害薬の2つの臨床研究結果は?

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 新しい糖尿病治療薬のDPP-4阻害薬。国内では売上を伸ばしている注目の薬剤です。

 

 このほど、The New England Journal of Medicine誌(2013年9月2日発行)に、新しいDPP-4阻害薬に関する2つの臨床研究結果が掲載されました。

 原著論文は無料で公開され閲覧できる状態となっていますので、ぜひご覧いただきたいと思います。

 ここでは、結果を簡単にご紹介したいと思います。

 

DPP-4阻害薬は心血管疾患を予防できるか?

SAVOR-TIMI 53(2013年)

Scirica BM, Bhatt DL, Braunwald E, Steg PG, Davidson J, Hirshberg B, Ohman P, Frederich R, Wiviott SD, Hoffman EB, Cavender MA, Udell JA, Desai NR, Mozenson O, McGuire DK, Ray KK, Leiter LA, Raz I; the SAVOR-TIMI 53 Steering Committee and Investigators. Saxagliptin and Cardiovascular Outcomes in Patients with Type 2 Diabetes Mellitus. N Engl J Med. 2013 Sep 2. [Epub ahead of print] PubMed PMID: 23992601.

  • P▶ 心血管疾患の既往があるか複数の危険因子がある2型糖尿病患者(HbA1c 6.5~12%)に対して
  • E▶ saxagliptin 5 mg/日を投与すると
  • C▶ プラセボに比べて
  • O▶ 心血管死亡・非致死性心筋梗塞・非致死性脳梗塞を合わせた発生は少ないか
  • T▶ 治療、ランダム化比較試験

《結果》※※※

対象患者は16,492人、追跡期間は中央値2.1年(1.8~2.3年)、HbA1c 両群とも平均8.0%

  • saxagliptin 613人/8280人(7.3%)
  • プラセボ 609人/8212人(7.2%)
  • ハザード比 1.00(95%信頼区間 0.89 ~ 1.12)

なお、心不全による入院はハザード比 1.27(95%信頼区間1.07~1.51)、低血糖による入院はハザード比 1.22(95%信頼区間0.82~1.83)であった。

 

 この研究では、心血管疾患の予防効果は認められませんでした。

 さらには、心不全や低血糖による入院が増加する懸念が示唆されています。

 

EXAMINE(2013年)

White WB, Cannon CP, Heller SR, Nissen SE, Bergenstal RM, Bakris GL, Perez AT, Fleck PR, Mehta CR, Kupfer S, Wilson C, Cushman WC, Zannad F; the EXAMINE Investigators. Alogliptin after Acute Coronary Syndrome in Patients with Type 2 Diabetes. N Engl J Med. 2013 Sep 2. [Epub ahead of print] PubMed PMID: 23992602.

  • P▶ 過去15~90日以内に急性冠症候群で入院治療した2型糖尿病患者(HbA1c 6.5~11.0%)に
  • E▶ alogliptin 25mg/日を投与すると
  • C▶ プラセボに比べて
  • O▶ 心血管死亡・非致死性心筋梗塞・非致死性脳梗塞を合わせた発生は少ないか
  • T▶ 治療、ランダム化比較試験(非劣性試験)

《結果》※※※

対象患者は5,380人、追跡期間は中央値18か月、HbA1c 両群とも平均8.0% 

  • alogliptin 305人/2701人(11.3%)
  • プラセボ 316人/2679人(11.8%)
  • ハザード比 0.96(片側検定による信頼区間の上限1.16)

重篤な有害事象については両群有意差なし

 

 この論文には良心的にも、30か月までのカプランマイヤー曲線(100%スケール!)が示されていますが、ほとんど差がないようにみえます。

 

 急性心筋梗塞や不安定狭心症で入院したハイリスク患者を対象とした研究でも、残念ながら効果を証明することはできなかったようです。

 

 この研究デザインは非劣性試験となっています。ということは、そもそも心血管疾患の発症に関して、DPP-4阻害薬はプラセボに比べて劣っていない、という仮説を検証する研究を実施した、ということになります。

 

DPP-4阻害薬の2つの臨床研究結果は? 

  • 2つの大規模国際共同研究では、いずれもDPP-4阻害薬には心血管疾患予防効果は認められなかった。
  • 逆に心不全や低血糖による入院が多くなる懸念が指摘された。
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