質問
テニス肘なんですけど、湿布でいいですか?
肘の痛みがつづく女性。典型的なテニス肘(上腕骨外側上顆炎)の所見でした。
別にテニスをするわけでもない、と診断名を聞いて怪訝な表情でしたが、おそらく間違いないでしょう。
鎮痛剤を飲むほどではない(あるいは飲みたくない)とのことで、湿布を希望されました。
湿布かあ、効果はどうだったかな。そもそも、自然に治る病気だし。
まあ、調べてみることにしました。
外側肘痛に鎮痛剤
コクランのメタ分析が見つかりました。外側肘痛(lateral elbow pain)とはテニス肘のことです。
これで解決しそうです。確認してみましょう。
メタ分析(2013年, Pattanittum) *1
研究の概要
外側肘痛の人が、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の経口または外用(湿布やゲル)を使用すると、プラセボまたは他の治療に比べて、自覚的な痛みが30%以上軽減するか、または有害事象による脱落が多くないか、を検討したランダム化比較試験のメタ分析。
主な結果
15のランダム化比較試験(759人)の結果を統合。NSAIDs外用は8研究で検討され、プラセボと比較されたものは5研究。経口と外用を比較した研究はなかった。
質の低い3研究(153人)によると、NSAIDs外用群はプラセボ群に比べて短期の痛み *2 は少なかった(平均差 -1.64, 95%信頼区間 -2.42, -0.86)。治療必要数 7(95%信頼区間 3, 21)。
また質の低い1研究(85人)によると、NSAIDs外用群(14日間の治療)はプラセボ群に比べて、28日後に効果ありと答えた人は相対危険 1.49(95%信頼区間 1.04, 2.14)と多かった。
質の低い研究しかなかった
今回は、質問にあわせてNSAIDs外用の結果のみ取り上げてみます。
それぞれの研究は、intention-to-treat解析されていない、標本サイズが小さい、割付隠蔽がなされていない、など質の低い研究がほとんどでした。
しかしながら、NSAIDs外用群ではプラセボ群に比べて、痛みが改善しやすい傾向がみられています。 有害事象はほとんどみられず、両群で有意差は見られていません。
今のところは、まあ害も少ないし、希望するなら使ってみてもいいか、ということになるかもしれません。