地域医療日誌

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研究費をもらうといい結果が出やすいというのは本当ですか?

 
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理想と現実

 臨床研究とは特定の企業の利益を目的としたものではなく、あくまでも公平に行われているものと信じたいです。しかし、現実はそうではなかったようです。

 過去のランダム化比較試験を検証した、ひとつの論文が現実を物語っています。

横断研究(Ahn, 2017年) *1

研究の概要

 過去に発表されたランダム化比較試験のうち、研究者が製薬企業からの経済的支援 *2 を受けた研究では、受けなかった研究に比べて、研究結果が研究薬に有利 *3 となっていたか、を検討した横断研究。

 

主な結果

 2013年1月1日から12月31日までに「コアジャーナル」に発表された論文のうち、薬の介入効果を検討したランダム化比較試験190が対象。研究デザインの内訳は優性試験 89%、二重盲検 75%、プラセボ対照 75%。 

 経済的支援を受けた研究のうち、
 研究結果が有利な研究 103/136(76%)
 研究結果が不利な研究 29/59(49%)
と、有利な結果が多かった。

 多変量解析でも同様に、経済的支援がある研究では オッズ比 3.57(95%信頼区間 1.7, 7.7)と、有利な結果が多かった。

 

経済的支援があると3.6倍いい結果が出やすい

 横断研究ですから、起きている現象の記述であり、因果関係が特定されたわけではありません。このような結果をもらたす原因は、おそらく単純に説明できるものではないことでしょう。

 しかし、それにしても製薬企業からの経済的支援を受けると、これほどまでに有利な結果になっている、という現象は存在しているということになります。

 

 この結果からは、経済的支援を受けることによって科学の厳密性が歪められているのではないか、という疑惑は深まりました。

 研究資金がなければ研究自体が実施できなくなり、それも問題です。独立性をどう担保していくのか、科学の信頼性を回復するために、これから克服しなければならない課題といえるでしょう。

 

読者としてどうするか?

 この研究の資金はどこから提供されているのか?

 論文を読む時には、ぜひこの点に注目する必要がある、ということをあらためて強調しておきたいと思います。

 そして、結果の解釈にはある程度の幅をもって理解したいものです。

 

*1:Ahn R, Woodbridge A, Abraham A, Saba S, Korenstein D, Madden E, Boscardin WJ, Keyhani S. Financial ties of principal investigators and randomized controlled trial outcomes: cross sectional study. BMJ. 2017 Jan 17;356:i6770. doi: 10.1136/bmj.i6770. PubMed PMID: 28096109.

*2:論文の主要な研究者(第一著者と責任著者)について、研究薬の製薬企業からの支払い(アドバイザー料や講演料、旅費や食費を含む)の有無を検討。該当する論文だけではなく、同じ著者が発表した別の論文やGoogleなど他の5つの情報源を駆使して検索もなされている。

*3:研究仮説が一次アウトカムで支持されれば有利、支持されなければ不利と判定

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