地域医療日誌

新しい医療のカタチ、考えます

湿疹にはやっぱりヒルドイドですよね?

公開日 2016-10-21, 最終更新日 2016-10-24

質問

 乳児湿疹には、ヒルドイドのほうがいいですか?

 

 乳児湿疹によく使われているようですが、その効果はどうなのでしょうか?

 たまたま偶然、営業に来た製薬企業の医療情報担当者さんに聞いてみました。(まるでぼくが記事を書こうとしていたのを見透かされたようでした。)

 そして数週間後、やってきました。ちゃんとぼくの質問を覚えていてくれたんですね。(そのとき、ぼくの調査はまったく進んでいませんでした・・・。)

 紹介してもらった文献はこちら。

前後比較研究(山田, 2005) *1

研究の概要

 ステロイド外用治療によって軽症化したアトピー性皮膚炎患者に、適量のヒルドイドローションを1日2回4週間単純塗布すると、開始前に比べて、皮膚症状 *2 は改善するか、を検討した前後比較研究。

 

主な結果

 12人(女性7人、平均年齢 29歳)、21部位が対象。21部位のうち20部位で症状の再燃はみられず寛解を維持。皮膚症状は皮膚乾燥および掻痒が開始時と比較して軽快。副作用はみられなかった。 

 

エビデンスはなかった

 小規模の前後比較研究だけですか? 本当にこれだけなんですか? 目を疑いました。

 ステロイドで改善したアトピー性皮膚炎にヒルドイドローションを使ってみたら寛解を維持できました、というただそれだけの報告です。

 ランダム化どころか、比較もしていません。これで効果あり、というわけにはいかないでしょう。

 

 他にはないんですか? と尋ねたところ、モルモットの研究論文を手渡されました。

 ヒトの研究はないんでしょうね。 愕然としたところです。

 

 研究がないということは、チャンスでもあります。乳児湿疹に対するヒルドイドとワセリンのランダム化比較試験、どなたかやってもらえないかなあ?

 もう少しぼくも調べてみようと思います。

 

価格はなんと10倍

 追記です。効果の優位性がはっきりしないわりに、高価な薬です。塗り心地がいいからでしょうか?

 つぶやきを追加しておきます。

 

*1:山田裕道. アトピー性皮膚炎に対する寛解維持療法としてのヒルドイド(R)ローションの有用性の検討. 臨床皮膚科 2005; 60(7): 96-101

*2:皮膚乾燥、落屑、紅斑、掻痒の症状を4:高度~0:なしの5段階で評価

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