地域医療日誌

変化しつづける地域でともに悩み、考える医療

HPV検査には他の方法はないですか?

 
スポンサーリンク

 ついでに、もう少し子宮頸がん検診には効果がありますか?(3) - 地域医療日誌につづきます。

日本産婦人科医会の推奨 

 少し補足です。

 公益社団法人 日本産婦人科医会では、第47回 記者懇談会(2011年9月14日)にて「子宮頸がん検診リコメンデーション*1 という資料を公表しています。 この資料では、細胞診にHPV検査を併用することを推奨する記述がありますので、追記しておきます。

 

HPV検査とは

 HPV検査(HPV-DNA検査)とは、HPV核酸同定検査のことです。HPV検査の検体は細胞診と同時に採取可能で、1回子宮頸部の細胞を採取することで両方の検査が可能となっています。検査の説明はこちら *2 などをご参照ください。

 細胞診検査と同時に採取できるのであれば、両方の検査を実施することはそれほど抵抗はないでしょうか。

 

 それでは、子宮頸部の細胞を採取されるのがどうしても嫌、という方には、何か他の方法はあるのでしょうか?

自己採取、メタ分析(Arbyn, 2014年)*3

P▶ 子宮頸がん検診を受ける女性では
E▶ 自己採取と医師採取でHPV検査をすると
C▶ コルポスコピーや生検による参照基準に比べて
O▶ CIN2+またはCIN3+の感度、特異度はどれほどか
T▶ 診断、メタ分析

《結果》
36研究、154,556人が対象

CIN2+
感度(95%信頼区間)自己採取 76%(69-82)、医師採取 88%(85-91)
特異度(95%信頼区間)自己採取 86%(83-89)、医師採取 96%(95-97)

CIN3+
感度(95%信頼区間)自己採取 84%(72-92)、医師採取 89%(83-96)
特異度(95%信頼区間)自己採取 87%(84-90)、医師採取 96%(93-99)

 

 自己採取でもなかなかよい感度・特異度を出していますが、医師のほうがより精度が高かったようです。

 

 さらに侵襲が少ない尿検査によるHPV検査のほうはどうでしょうか。

尿中HPV検査、 メタ分析(Pathak, 2014年) *4

P▶ 性的活動のある(sexually active)女性に
E▶ 尿検体によるHPV-DNA検査を行うと
C▶ 子宮頸部検体によるHPV-DNA検査に比べて
O▶ 感度・特異度はどれほどか
T▶ 診断、メタ分析

《結果》
16論文14研究、1443人が対象

すべてのHPV検査
感度 87%(95%信頼区間 78-92)
特異度 94%(95%信頼区間 82-98)

ハイリスクHPV検査
感度 77%(95%信頼区間 68-84)
特異度 88%(95%信頼区間 58-97)

HPV 16, 18
感度 73%(95%信頼区間 56-86)
特異度 98%(95%信頼区間 91-100)

 

 QUADAS-2による評価 *5 もなされており、バイアスのリスクは低いものが多かったようです。

 子宮頸部のHPV-DNA検査を参照基準とした検討ですが、感度はそこそこですが、特異度は比較的高くなっています。

 尿検体によるHPV検査によって、子宮頸がん死亡や総死亡の予防効果が立証されると、なおよいかもしれません。今後の研究に期待したいと思います。

 

HPV検査には他の方法はないですか?

  • 子宮頸部からの自己採取では、医師採取に比べて前がん病変の感度・特異度がやや劣る。
  • 尿検体によるHPV検査も子宮頸部検体に比べて、やや感度・特異度が劣る。
  • これらの簡便な方法が十分な精度で行われ、さらに予防効果が立証されるまでには、もう少し時間がかかるだろう。

*1:PDFはこちら http://www.jaog.or.jp/all/document/47_110914.pdf

*2:感染症関連試薬 | ヒトパピローマウイルス(HPV DNA「キアゲン」HCII) | 臨床検査試薬のLSIメディエンス

*3:Arbyn M, Verdoodt F, Snijders PJ, Verhoef VM, Suonio E, Dillner L, Minozzi S, Bellisario C, Banzi R, Zhao FH, Hillemanns P, Anttila A. Accuracy of human papillomavirus testing on self-collected versus clinician-collected samples: a meta-analysis. Lancet Oncol. 2014 Feb;15(2):172-83. doi: 10.1016/S1470-2045(13)70570-9. Epub 2014 Jan 14. Review. PubMed PMID: 24433684.

*4:Pathak N, Dodds J, Zamora J, Khan K. Accuracy of urinary human papillomavirus testing for presence of cervical HPV: systematic review and meta-analysis. BMJ. 2014 Sep 16;349:g5264. doi: 10.1136/bmj.g5264. Review. PubMed PMID: 25232064; PubMed Central PMCID: PMC4166201.

*5:検査で川崎病の診断ができますか? - 地域医療日誌

 Copyright © 2003, 2007-2017 地域医療ジャーナル