地域医療日誌

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口唇ヘルペスの予防に抗ウイルス薬は必要?

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質問

 またヘルペスができたのですが、抗ウイルス薬は飲んだ方がよいですか?

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再発は防げるか?

 口唇ヘルペス(単純ヘルペスウイルスによる口唇炎)を繰り返す方がおられます。自然に治るのですが、痛みがつらいため薬を希望されて受診する方もおられます。

 再発するたびごとに抗ヘルペス薬を内服していますが、いっこうに再発がおさまらない、という人もおられます。抗ヘルペス薬の効果はどの程度あるのでしょうか。

 

 最近のメタ分析がありましたので、確認してみましょう。

メタ分析(Chi, 2015年) *1

研究の概要

 再発性ヘルペス口唇炎と診断された人にどんな予防策を行うと、プラセボまたは他の予防策に比べて、ヘルペス口唇炎の再発は少ないか、を検討したランダム化比較試験のメタ分析。

 

主な結果

 32のランダム化比較試験(2640人、19治療)が採用。

 1か月以内の短期の経口アシクロビルの研究は4研究。しかし、アシクロビルの投与量が異なり、結果にも一貫性がなかった。

アシクロビル 800mg 1日2回投与(1研究、237人、研究の質:中等)
 アシクロビル群 184/1000人 、プラセボ群 171/1000人
 相対危険 1.08 [95%信頼区間 0.62, 1.87]

アシクロビル 400mg 1日2回投与(2研究、177人、研究の質:低い)
 アシクロビル群 95/1000人、プラセボ群 364/1000人
 相対危険 0.26 [95%信頼区間 0.13, 0.51]

アシクロビル 200mg 1日5回投与(1研究、66人、研究の質:低い)
 アシクロビル群 181/1000人、プラセボ群 394/1000人
 相対危険 0.46 [95%信頼区間 0.2, 1.07]

 短期の経口バラシクロビルの研究は1研究のみ。

バラシクロビル(1研究、125人、研究の質:中等)
 バラシクロビル群 113/1000人、プラセボ群 206/1000人
 相対危険 0.55 [95%信頼区間 0.23, 1.28]

 

 1か月以上の長期予防の研究は小規模で研究の質が低い。

アシクロビル(1研究、40人、研究の質:低)
 アシクロビル群 1人あたり0.85発症/4か月
 プラセボ群 1人あたり1.80発症/4か月

バラシクロビル(1研究、95人、研究の質:低)
 バラシクロビル群 1人あたり0.12発症/月
 プラセボ群 1人あたり0.21発症/月

 

短期の予防は結論が一貫していない

 アシクロビルの研究では、研究によって効果がみられたりみられなかったり、結果が一貫していませんでした。投与量との関連も説明しづらく、研究の質も高くないため、もう少し情報が必要かもしれません。

 バラシクロビルの研究は、再発性ヘルペス口唇炎の既往がある人の歯科治療後の2日間の内服で1週間の追跡期間となっています。こちらも再発が少ない傾向はみられますが、統計学的な有意差はありません。

 どちらも有害事象は有意差がみられていません。

 

長期予防の研究は少ない

 1か月以上の長期投与は研究自体が少ないようです。

 いずれも抗ウイルス薬群のほうが発症が少ない傾向がみられています。また、有害事象についても有意差がみられていません。

 

 メタ分析の結論をみても、現時点では予防投与の効果は少しはあるかもしれないがメリットは小さい、といった論調となっています。

 

つづく 

口唇ヘルペス予防にぬり薬は有効? - 地域医療日誌

*1:Chi CC, Wang SH, Delamere FM, Wojnarowska F, Peters MC, Kanjirath PP. Interventions for prevention of herpes simplex labialis (cold sores on the lips). Cochrane Database Syst Rev. 2015 Aug 7;(8):CD010095. doi: 10.1002/14651858.CD010095.pub2. Review. PubMed PMID: 26252373.

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