地域医療日誌

変化しつづける地域でともに悩み、考える医療

むしろコレステロールが低いほうが危険

 

 日本人の研究からわかるコレステロールのリスクの実態 - 地域医療日誌 につづきます。 

 

もうひとつのコホート研究も同じ結果 

 長期間追跡調査された、日本人のもうひとつの代表的な研究をご紹介しておきましょう。

JMSコホート研究(Nago, 2010) *1

研究の概要

 全国12市町村における40~69歳の健康な日本人のうちで総コレステロール値が高い人は、基準値の人に比べて、心血管死亡・総死亡は多いかを検討した、予後に関するコホート研究。

 

主な結果

 12,334人(女性 60.8%、平均年齢 55.3歳、喫煙男性 50.5% 女性5.5%)を対象。11.9年追跡。

 総死亡については総コレステロール値 160-199mg/dLに比べて、160mg/dL未満の年齢調整ハザード比は男性 1.49(95%信頼区間 1.23, 1.79)、女性 1.50(95%信頼区間 1.10, 2.04)と多い。

 高コレステロール血症(総コレステロール値 240mg/dL以上)はリスクではなかった。

 

 総死亡の多変量調整ハザード比 *2

f:id:cometlog:20171204000622p:plain

 

総コレステール 240mg/dL以上でも総死亡に有意差なし

 やはり、NIPPON DATA 80と同じ結果となっていました。

 高コレステロール血症での総死亡者数は少なく、リスクの高さ(調整ハザード比)でみると有意差が出ていません。そもそも発生が少なくほとんどリスクになっていない、ということでしょう。

 総死亡者数はむしろ低コレステロール血症で多く、コレステロールは低いほうが危険、という結果になるでしょう。

 ここまでは一貫した結果となっています。

 

低コレステロールでは脳出血、心不全、がんが多い

 この研究では、低コレステロール血症群で肝疾患死亡は多くなかった、とあります。多かったのは、脳出血死亡、心不全死亡(心筋梗塞以外のもの)、がん死亡となっています。

 

 健康な日本人については高コレステロール血症はあまりリスクになっていなかった、ということがわかっているのです。

 これまで聞いている話と違いますか? それほど新しい知見ではないのですが・・・これが科学的根拠の実態です。

 

 脂質異常症については、さらに驚くべき科学的根拠があります。

 さらにつづきます。

 

*1:Nago N, Ishikawa S, Goto T, Kayaba K. Low cholesterol is associated with mortality from stroke, heart disease, and cancer: the Jichi Medical School Cohort Study. J Epidemiol. 2011;21(1):67-74. Epub 2010 Dec 11. PubMed PMID: 21160131; PubMed Central PMCID: PMC3899519.

*2:Cox proportional hazards model adjusted for age, systolic blood pressure, high-density lipoprotein cholesterol, smoking, drinking, and body mass index.

 Copyright © 2003, 2007-2018 地域医療ジャーナル