地域医療日誌

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既存の情報とエビデンスのギャップを明らかにする

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情報検索の前段階

 なぜ、エビデンス(ここでは、医学論文に基づく科学的知見のこと)は大衆に普及しにくいのか、について少し考えてみました。

 

 まあ、情報がとっつきにくいから、ということがおそらく最大の理由でしょう。

 情報をわかりやすく説明していれば、いずれわかってもらえるはずだ、という淡い期待を持って、ブログをはじめいろいろな執筆活動に取り組んできましたが、いまいち普及していかないというもどかしさがあります。

 

 もちろん、まだまだ情報の伝え方には問題がある、という点は否めません。さらなる工夫と改善が必要だと考えています。

 しかし、おそらくそれ以外にも、エビデンスが大衆化しない理由、があるのではないでしょうか。

 

 そもそも、必要に迫られてエビデンスを探すという行動は、どのような条件が揃ったときに起きるものなのでしょうか。

  1. 既存の情報に疑問をもつ
  2. 世間に流布する情報では不完全であることに気づく
  3. エビデンスの存在を知る
  4. 情報検索によって新しい情報にたどり着く

 

 巷にあふれている情報が正しいのかを見きわめたいと思った人は、最終的にはこの第3、4ステップ(いわゆるEBMの手法)について修得することになるでしょう。

 しかし、既存の情報の不確実さに気づかずに満足している場合には、この第3、4ステップに入ることはありません。動機がなければ中には入ってこれないのです。そのため、なかなか裾野が広がらない、ということなのでしょう。

 

 エビデンスをさらに大衆化していくには、この前段階である第1、2ステップに対する働きかけが、もっと必要だったのかもしれません。

 

既存の情報とのギャップを明らかにする

 この第1、2ステップは、既存の情報とエビデンスとのギャップを意識しそれを明確化する、ということになるでしょう。

 

 これはブログで取り扱おうとしても、なかなか難しい内容です。既存の情報自体の問題点を指摘し、ケチをつけることにもなりかねないからです。

 しかし、もはや避けて通ることはできません。この聖域に切り込まなければ、エビデンスの普及も理解も、ままならない状況です。

 

ギャップを薬の情報で考えるとわかりやすい

 この既存の情報とエビデンスとのギャップについて、薬の情報に例えるとわかりやすいかもしれません。

 簡略図にしてみました。

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 この簡略図では、黒い矢印が既存の情報の流れを示しています。

 既存の情報で判断していた薬の効能について、医学論文などの臨床研究の結果、いわゆるエビデンスを目にした際のギャップは青い矢印で示しています。このギャップは医療者も患者も同じように感じることがあります。

 まさしくこの青の矢印が第3、4ステップで体験できるギャップであります。

 

 しかし、これまでは薬の効能とエビデンスとのギャップ(赤い矢印)については、あまり重要視してきませんでした。

 ここが第1、2ステップのギャップの部分であります。

 つまり、薬の説明はこのようになっていますが、実際の研究ではそのようになっていないんです、といった情報になります。

 

 いろいろと差し障りがありそうな核心部分ではありますが、少しずつこのギャップについても、明らかにしていきたいと思います。

 

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