喘息に対する吸入ステロイド
吸入ステロイドで身長が低くなるか? については、過去に記事にしています。 こちらをご覧ください。
小児のアレルギー性鼻炎では
それでは、 アレルギー性鼻炎で用いる点鼻ステロイドではどうでしょうか。
あまりかわりがないのでは? と思っていましたが・・・。最近ランダム化比較試験の発表されていますので、ご紹介したいと思います。
ランダム化比較試験(Skoner, 2015年)*1
研究の概要
通年性アレルギー性鼻炎のある3歳から9歳の小児に、トリアムシノロン 110 μg を1日1回12か月間点鼻すると、プラセボ1日1回点鼻に比べて身長の伸びは少なくなるか、について検討した二重盲検ランダム化比較試験。
主な研究結果
299人の小児をランダムに割付、そのうち216人を追跡。
1年間の身長の伸び(最小二乗法、267人対象)については、トリアムシノロン群では 5.65cmに対してプラセボ群では 6.09cmと、トリアムシノロン群で1年間に0.45cm 身長の伸びが少なかった(95%信頼区間 -0.78, -0.11)。
1年で0.45cm
通年性アレルギー性鼻炎に対する点鼻ステロイドは1年間の治療で0.45cmの身長差があった、という結果です。
ぼくはこの結果を聞くと、これではちょっと影響が大きいかもしれない、と感じます。
冒頭に紹介した吸入ステロイドの記事では、長期使用すると成人の最終身長が1cm程度低くなる懸念がある、という結果でした。しかし、これらは気管支喘息に対する予防の話です。喘息発作によって救急受診や入院、そして死亡につながる疾患の予防であります。
これに対して、アレルギー性鼻炎は命に関わることは少ない疾患です。
効果に対してこの影響は釣り合うのか、よく考えて治療期間などを設定する必要があるかもしれません。
少なくとも漫然と使うことはしないようにしたいものです。
*1:Skoner DP, Berger WE, Gawchik SM, Akbary A, Qiu C. Intranasal triamcinolone and growth velocity. Pediatrics. 2015 Feb;135(2):e348-56. doi: 10.1542/peds.2014-1641. PubMed PMID: 25624374.