地域医療日誌

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検査で川崎病の診断ができますか?

 
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 最近、川崎病の診断に関するメタ分析が発表されています。

川崎病の診断基準

 まずは、川崎病 *1 の診断基準を確認しておきましょう。

A 主要症状
1.5 日以上続く発熱(ただし、治療により 5 日未満で解熱した場合も含む)
2.両側眼球結膜の充血
3.口唇、口腔所見:口唇の紅潮、いちご舌、口腔咽頭粘膜のびまん性発赤
4.不定形発疹
5.四肢末端の変化:(急性期)手足の硬性浮腫、掌蹠ないしは指趾先端の紅斑 (回復期)指先からの膜様落屑
6.急性期における非化膿性頸部リンパ節腫脹

 6つの主要症状のうち5つ以上の症状を伴うものを本症とする。 ただし、上記6主要症状のうち、4つの症状しか認められなくても、経過中に断層心エコー法もしくは、 心血管造影法で、冠動脈瘤(いわゆる拡大を含む)が確認され、他の疾患が除外されれば本症とする。

 

 川崎病の診断に、心不全マーカーとして用いられる BNPヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド)や NT-proBNP(ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント)が使われることがあることも、その有用性を指摘した日本人の論文が2000年に発表されていた*2 ことも、このメタ分析を読むまで知りませんでした。

 ということで、興味深い論文です。確認しておきましょう。

メタ分析(Lin, 2015) *3

P▶ 川崎病が疑われる発熱疾患患者のうちで
E▶ BNP値やNT-proBNP値が高ければ(低ければ)
C▶ 川崎病国際診断基準を参照基準として
O▶ 川崎病と確定診断(除外診断)できるか
T▶ 診断、メタ分析

《結果》※※

 7研究(川崎病確定428人、川崎病なし709人)の結果を統合。うち1研究がBNP、残りの6研究がNT-proBNPを用いたもの。いずれもQUADASスコアにて、ある程度質が保たれていることが確認された。

7研究 (95%信頼区間)
 感度 0.89 (0.79-0.95), 特異度 0.77 (0.62-0.88)
 陽性尤度比 4.0 (2.3-6.9), 陰性尤度比 0.14 (0.07-0.27)

NT-proBNPのみ6研究 (95%信頼区間)
 感度 0.89 (0.78-0.95), 特異度 0.72 (0.58-0.82)
 陽性尤度比 3.2 (2.1-4.8), 陰性尤度比 0.15 (0.07-0.31)

 

感度89%!

 なんと、NT-proBNPの感度はほぼ90%、陰性尤度比0.15という結果。川崎病を除外するには有用な検査となるでしょう。

 また、確定診断については、特異度70%程度、陽性尤度比 3-4というところですが、検査で容易に診断確定できない病気であるだけに、役立つ情報になるかもしれません。覚えておきたいと思います。

 

QUADASスコアとは?

 ところで、QUADASスコアとは何でしょうか。

 Quality Assessment tool for Diagnostic Accuracy Studies の略。診断精度に関する研究の質を評価するためのツールということです。

 それぞれの研究の質を同じ14項目の評価項目で判定し、その結果が記載されています。(最近のメタ分析ではよく見かけるようになった、カラフルな表のところに記載があります。)

 評価項目や詳細、さらにはQUADAS2についての日本語情報は、こちらのウェブサイトに詳しく記載されています。

 

検査で川崎病の診断ができますか?

  • メタ分析ではBNP、NT-proBNPともに感度が89%と高く、除外診断に活用できる可能性がある。
  • 陽性尤度比は3~4程度と、確定診断には参考となる可能性がある。

 

*1:Kawasaki T. [Acute febrile mucocutaneous syndrome with lymphoid involvement with specific desquamation of the fingers and toes in children]. Arerugi. 1967 Mar;16(3):178-222. Japanese. PubMed PMID: 6062087.

*2:Kawamura T, Wago M, Kawaguchi H, Tahara M, Yuge M. Plasma brain natriuretic peptide concentrations in patients with Kawasaki disease. Pediatr Int. 2000 Jun;42(3):241-8. PubMed PMID: 10881579.

*3:Lin KH, Chang SS, Yu CW, Lin SC, Liu SC, Chao HY, Lee MT, Wu JY, Lee CC. Usefulness of natriuretic peptide for the diagnosis of Kawasaki disease: a systematic review and meta-analysis. BMJ Open. 2015 Apr 14;5(4):e006703. doi: 10.1136/bmjopen 2014-006703. PubMed PMID: 25872939.

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