地域医療日誌

新しい医療のカタチ、考えます

一枚の絵であっても人を癒すことができる

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癒しとは何か

 癒しとは何か。「医療と癒し」について考える前提として、ここは避けては通れない問いです。

 主観的な概念だと思いますので、まず自分なりの解釈について、少し考えてみたいと思います。

 

「最後の一葉」から 

 最初に頭に思い描いたのは、オー・ヘンリーの短編小説「最後の一葉」です。

オー・ヘンリー傑作選 (岩波文庫 赤 330-1)

オー・ヘンリー傑作選 (岩波文庫 赤 330-1)

 

 

 有名な作品ですから、あらすじはご存知の方も多いと思いますが、ネタバレしない程度に書いてみます。

 

 当時は助かる見込みが少なかったであろう肺炎をわずらった若き女性画家が、窓の外を眺めては蔦のつるの葉がおちていくのを見て、嘆き悲しんでいます。

「最後の一葉が落ちたら、わたしも行かなきゃならないんだわ。」

 

 そんな女性を救ったのは、年老いた画家ベアマンさんが描いたある一枚の絵でした。この絵をきっかけに女性は回復へ向かっていった、というあらすじです。

 

 画家が登場するストーリーですから、一枚の絵であっても人を癒すことができるのだ、という力強いメッセージを感じます。

 

 作品には医者も登場しますが、有効な抗菌薬などの治療薬がない時代。施せることが少ない中では、医療の役割も小さかったことでしょう。

 

癒しとは、ベアマンさんの絵のようなもの

 ここでは、多くを語らないでおきたいと思います。

 癒しとは、ベアマンさんの描いた一枚の絵のようなものである、としておきます。

 これをうまく一般化したコトバに置き換えることができませんが、医療ではできることが限られていた状況において、回復に向かう原動力となったもの、とでもしておきましょうか。

 

 癒しとは何か。これからも考えていきたいと思います。

 

つづく 

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