地域医療日誌

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それでも体重はへらしたい?

 
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 前回記事 やはり低炭水化物食で総死亡が多くなっていた! - 地域医療日誌 から、もう少し追加して書いておきたいと思います。

 

体重はへりますよね?

 ぼくはすでにもう、命かけてまで低炭水化物食(糖質制限)やってもなあ、という気持ちでいっぱいですが、反論の余地はあるのでしょうか?

 確かに、体重は一時的にへるように思います。健康に対する意識は高まり、将来的には何らかの良い与えるかもしれない、という期待感はもてます。

 短期的な効果 *1 としては、体重は重要な指標となるでしょう。

 それでは、どの程度体重が減っているのでしょう?

 ひとつの研究結果をみておきましょう。

ランダム化比較試験(Stern, 2004年) *2

研究の概要

 BMI 35以上の肥満の成人が炭水化物制限(低炭水化物食)を行うと、通常のカロリー制限に比べて体重は少なくなるか、を検討した治療に関するランダム化比較試験。

 対象者132人のうち83%に糖尿病またはメタボリック症候群あり。

 低炭水化物食は1日30g未満への炭水化物制限。通常のダイエットは1日500カロリー減の制限かつ脂肪からのカロリーを30%未満にするもの。

 

主な結果

 1年後の平均(+/- 標準偏差)体重変化は以下のとおり。

  • 低炭水化物食 -5.1 +/- 8.7 kg
  • 通常のダイエット -3.1 +/- 8.4 kg
  • 両群の差 -1.9 kg(95%信頼区間 -4.9, 1.0 kg)

 

さらに1.9kgもへっていた 

 すごい効果ですね!何と、通常のカロリー制限より、さらに1.9kgも体重がへっていたのです!

 通常のダイエットでは平均3.1kgのところ、低炭水化物食では平均5.1kg。

 1年で平均5kgですよ。夢のようなダイエットです。

 

この研究の着目点

 一見して、かなりの減量効果がありそうですが、この結果の解釈には注意が必要です。いくつかの視点を提供しておきます。

 

かなりの肥満が対象

 まず、研究参加時の体重に着目したいと思います。

 論文 Table 1 の表をご覧ください。

低炭水化物食群:平均体重 130kg、平均BMI 42.9
通常ダイエット群:平均体重  132kg、平均BMI 42.9

 

 かなりの肥満の人が対象になっています。130kgの5kg減量ということですから、それほど驚く効果ではないのかもしれません。

 

 さらに、この対象者の平均年齢は53-54歳、8割以上が男性です。若い女性のダイエットが対象ではない、という点にも注意が必要です。

 

脱落が多い

 ダイエットというものは失敗が多いものですが、研究であっても同じです。脱落率は34%となっております。

 実数ではこのようになっています。

低炭水化物食群:64人のうち20人が脱落(31%)
通常ダイエット群:68人のうち25人が脱落(37%)

 

 他の研究に比べて、脱落はかなり多いですね。結果が逆転してもおかしくない脱落率となっています。

 

摂取カロリーは削減できたか?

 研究開始時と1年後の実際の摂取カロリーが記載されています。興味深いデータでしたので、ご紹介します。Table 2 をご覧ください。

開始時→1年後(n=87)

カロリー
低炭水化物食群:1972→1462
通常ダイエット群:1919→1822

炭水化物
低炭水化物食群:251→150g
通常ダイエット群:252→230g

 

 結局、通常ダイエット群では摂取カロリーの削減には成功していません。低炭水化物食群では炭水化物制限には成功しており、結果的に摂取カロリーを大幅に削減できています。

 

つまりこういうこと

 つまり、低炭水化物食ダイエットはこういう効果が期待できるということになるでしょう。

  • 従来の摂取カロリーをおさえるというダイエットに比べて、効果的にカロリー削減ができる可能性がある。
  • BMI 40以上の極度の肥満の人に対しては、1年で平均5kg程度の減量につながる可能性がある。

 

 低炭水化物食は、効果的にダイエットが実現できるという側面がある、ということでしょう。

 やせたいなら、それでいいかもしれません。

 問題は、それが体にいいことか? という一点にしぼられます。

 

そもそもダイエットが危険ということだった

 ここでいくかの論文を思い出しました。ぼくのブログの過去記事にしていますので、ご参照ください。

BMI 25.1-27.5が死亡率最低 - 地域医療日誌 by COMET

健康な人が減量すると死亡率11%増加 - 地域医療日誌 by COMET

 

 そもそも、少しぽっちゃりのほうが長生きであることは、最近の研究で明らかになっています。

 さらに、BMI 25-30程度の健康な人が減量すると死亡が多くなることは、すでに多くの研究結果から示されています。

 

 なるほど、ここでちょっとつながってきました。

  • ぽっちゃりは長生き。
  • ダイエットは寿命を縮める可能性がある。
  • 低炭水化物食はダイエットがうまくいく。
  • よって、低炭水化物食は寿命を縮める可能性がある。

ということかもしれません。

 

 それでも体重をへらしたいですか?

 

 追跡記事があります。こちらもどうぞ。

www.bycomet.tokyo

*1:このように数値を指標とした効果判定をする場合、代用のアウトカムと呼んでいます。

*2:Stern L, Iqbal N, Seshadri P, Chicano KL, Daily DA, McGrory J, Williams M, Gracely EJ, Samaha FF. The effects of low-carbohydrate versus conventional weight loss diets in severely obese adults: one-year follow-up of a randomized trial. Ann Intern Med. 2004 May 18;140(10):778-85. PubMed PMID: 15148064.

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