地域医療日誌

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インフルエンザに薬は効くの?効かないの?

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質問

 タミフルはあまり効果がない、というのは本当ですか?

 インフルエンザには薬が効くのでしょうか?効かないのでしょうか?

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あの未公開データの行方は?

 

 過去のトピックの追跡記事です。2013年の記事はこちら。

www.bycomet.tokyo

 

 この2013年の時点では製薬会社の未出版データを含むメタ分析が発表されていますが、その一部の研究が分析に含まれていませんでした。

This study (WV16277) randomized 451 adults to oseltamivir or placebo, and stratified them by vaccination status and the presence or absence of chronic obstructive lung disease. They found no difference between groups for the primary outcome of cough and fever alleviated 36 hours after the onset of treatment. Because they did not report the overall duration of symptoms, complications or hospitalizations we were unable to use it in our analysis.

タミフルでインフルエンザの重症化は防げますか? - 地域医療日誌

 

 この研究(WV16277)は1次アウトカムで有意差がみられなかったようですが、この未公開データがどのようなものだったのか、このデータを含めた解析ではどのような結果となるのか、わかっていませんでした。

 

 そして、2015年、新しいメタ分析が発表されています。

未公開データを含むメタ分析(Dobson, 2015年) *1

研究の概要

 成人のインフルエンザに対して、オセルタミビル75mgを1日2回服用すると、プラセボに比べて、すべての症状が消失するまでの時間が早くなるか、を検討したランダム化比較試験(ロシュ社の未出版データを含む)のメタ分析。

 他のアウトカムとしては、下気道感染の合併症についても検討。安全性アウトカムとしては、死亡、離脱、有害事象などを検討した。

 データは個別データを入手してメタ分析した。

 

主な結果

 9研究、4,328人が対象。そのうちインフルエンザ確定診断例はオセルタミビル群66%、プラセボ群68%。

 1次アウトカムの結果は表の通り。

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 オセルタミビル群のほうが症状消失までの時間が17.8時間早かった。インフルエンザ確定例に限定すると25.2時間早かった。

 下気道感染合併症については、オセルタミビル群105/2330、プラセボ群147/1872とリスク比 0·62 (95%信頼区間 0·49, 0·79) とオセルタミビル群で少ない。インフルエンザ確定例についても同様に、オセルタミビル群65/1544、プラセボ群110/1263とリスク比 0·56 (95%信頼区間0·42, 0·75) とオセルタミビル群で少なかった。

 死亡例はプラセボ群1例のみで、インフルエンザ非感染例の呼吸不全だった。

 

症状消失についてはこれまでの結論を大きく変えるものではない

 症状消失までの時間については、未発表データを加えたところで、結論を大きく変えるものではありませんでした。

 注目の WV16277 についても、さほど他の研究と遜色がないようにみえます。

 

肺炎が約4割少ない

 注目は合併症のほうでしょうか。

 インフルエンザ様症状全体での検討でも、オセルタミビル群で下気道感染症が38%少なくなっています。少なく見積もっても21%、もしかすると半減まで効果があるかもしれません。

 こちらは、これまでの結論を大きく修正するような内容となっています。

 重症化する懸念がある症例や肺炎のリスクが高い症例には、使ったほうがよいのかもしれません。

 

インフルエンザに薬は効くの?効かないの?

  • 未発表データを加えたメタ分析が発表されている。
  • オセルタミビルで約18時間症状消失が早まる。
  • 下気道感染症が約4割少なくなる。
  • 肺炎のリスクがある症例には、オセルタミビルは有用な選択肢かもしれない。

*1:Dobson J, Whitley RJ, Pocock S, Monto AS. Oseltamivir treatment for influenza in adults: a meta-analysis of randomised controlled trials. Lancet. 2015 May 2;385(9979):1729-37. doi: 10.1016/S0140-6736(14)62449-1. Epub 2015 Jan 30. Review. Erratum in: Lancet. 2015 May 2;385(9979):1728. Lancet. 2015 May 2;385(9979):1728. PubMed PMID: 25640810.

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