地域医療日誌

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心臓病の予測は大げさだった

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 最近の論文から。

 将来、心臓病など(動脈硬化性心血管疾患)にどれくらいかかりやすいかを予測し、治療や啓発に役立てるためのスコアは、いくつも発表されています。

 実際の観察研究の結果から、この予測スコアの精度はどうだったかを検証したひとつの研究が最近発表されています。

 やはり、というか興味深いデータが出ています。

コホート研究(DeFilippis, 2015年) *1

P▶ 心血管疾患の既往がない50~74歳の人を
E▶ 10年間観察すると
C▶ 心血管疾患予測スコアに比べて
O▶ 心血管疾患の発症は同等か
T▶ 予後、コホート研究
《結果》★★☆
 心血管疾患の既往がない人(white, African-American,Hispanic, or Chinese)4,227人、平均61.5歳を中央値10.2年追跡。

 ほとんどのリスクスコアの予測人数は実際の観察人数より過剰に見積もられていた。

 

f:id:cometlog:20150726213125p:plain

(代表的な結果を抜粋して作図)

 

1.5倍も多かった

 たかだか3%程度の違いだ、という言い方もできます。しかし、6%を9%と見積もられていたのですから、1.5倍多く見積もられていた、という言い方もできるでしょう。

 

 病気のリスクが高く見積もられているということは、医療はさらに予防を強化する方向に進みます。

 そして、どのようなことが起こってきたのか。

 予防しようと、鼻息が荒くなる人たちが現れることになります。

 

 10年経過しないとわからないことがあります。世の中も変わっています。

 「スタチンも、アスピリンも、血行再建術も進化している。」「昔のスコアは過去の医療を前提にしたものだ。」これで済むのでしょうか。

 

 なぜこのような高い予測が出てしまったのか。もはや私はこの論文の科学的な考察さえも、信じることができません。

 

 この論文から教訓としたいことは、ひとつだけです。

 病気の予測は大げさになる。

 

 おそらく、心臓病だけで起きている問題ではないでしょう。

 

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*1:DeFilippis AP, Young R, Carrubba CJ, McEvoy JW, Budoff MJ, Blumenthal RS, Kronmal RA, McClelland RL, Nasir K, Blaha MJ. An analysis of calibration and discrimination among multiple cardiovascular risk scores in a modern multiethnic cohort. Ann Intern Med. 2015 Feb 17;162(4):266-75. doi: 10.7326/M14-1281. PubMed PMID: 25686167; PubMed Central PMCID: PMC4414494.

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