地域医療日誌

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あわてて在宅酸素を導入する必要はない

 
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 ただ酸素を与えればいいのか? につづきます。

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COPDではどうか?

 急性心筋梗塞でさえ酸素の効果は微妙なところだということがわかりました。

 慢性疾患ではなおさら、その効果は小さいかもしれないと思っていたところ、最近その印象を裏づける論文が発表されましたので、ご紹介しておきます。

ランダム化比較試験(Albert, 2016年) *1

研究の概要

 安静時の酸素飽和度低下(89-93%)または運動時の酸素飽和度低下がみられる慢性閉塞性肺疾患(COPD)の人が、長期の酸素投与を受けると、酸素投与を受けない人に比べて、死亡または最初の入院までの期間は長くなるか(time-to-event analysis, 生存時間分析)を検討したランダム化、並行群間比較試験。

 

主な結果

 738人のCOPD患者のうち、133人(18%)が安静時酸素飽和度低下、319人(43%)が運動時酸素飽和度低下、286人(39%)がその両者ともみられる人であった。追跡期間は1-6年。

 死亡または入院は酸素群 250人/370人(36.4/100人年)、酸素なし群 248人/368人(34.2/100人年)、生存時間分析ではハザード比 0.94(95%信頼区間 0.79, 1.12)とほぼ同等という結果であった。

 

やはり差が出なかった!

 酸素飽和度の低下がみられるCOPDの中等症であっても、酸素を使うかどうかは死亡または入院の予後にはかわりがなかった、という結果でした。

 やはり、慢性疾患(とりわけ肺疾患)であっても酸素には効果なし、という結果です。

 

 少なくとも、酸素飽和度が低いからといって、慌てて酸素を投与したり在宅酸素を導入しなくてもよさそうです。

 そのままでも一向にかまいません。

 

 症状がないのに、酸素飽和度を測定することでさえ、意味がないように思われます。

 これまでの慣習を見直す必要があるでしょう。

*1:Long-Term Oxygen Treatment Trial Research Group., Albert RK, Au DH, Blackford AL, Casaburi R, Cooper JA Jr, Criner GJ, Diaz P, Fuhlbrigge AL, Gay SE, Kanner RE, MacIntyre N, Martinez FJ, Panos RJ, Piantadosi S, Sciurba F, Shade D, Stibolt T, Stoller JK, Wise R, Yusen RD, Tonascia J, Sternberg AL, Bailey W. A Randomized Trial of Long-Term Oxygen for COPD with Moderate Desaturation. N Engl J Med. 2016 Oct 27;375(17):1617-1627. PubMed PMID: 27783918; PubMed Central PMCID: PMC5216457.

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