地域医療日誌

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地域医療日誌

変化しつづける地域でともに悩み、考える医療

「患者中心の医療」の効果は微妙?

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待望の改訂第3版が出版

 

 家庭医のバイブルになりつつある名著、Patient-Centered Medicine *1 の第3版が出版されました。何と、初版からもうすぐ20年、旧版からでも10年以上経過しているとは・・・時が経つのは早いものです。

Patient-Centered Medicine: Transforming the Clinical Method (Patientcentered Care Series)

Patient-Centered Medicine: Transforming the Clinical Method (Patientcentered Care Series)

 

 

 洗練された手法についてはここで語るまでもありません。ぜひ原著を手にしてみてください。

 私もこの新版はまだ手にしたばかりで、これから改訂部分をじっくり読み込むつもりです。

 

 さて、さっそく最も注目していた部分を確認してみました。

Part Five: Research on Patient-Centered Care
Evidence on the Impact of Patient-Centered Care

 

患者中心の医療は有効か?

 

 介入する以上、その効果と害については気になるものです。治療のひとつと考えれば、薬と同じです。患者中心の医療の方法を実践して、患者に役立つのでしょうか?

 

 最も重要なのは、真のアウトカムです。知りたいのは、interactionsの改善でもadherenceの改善でもありません。該当部分を抜粋してみます。

IMPROVING HEALTH OUTCOME
Dwamena et al.*2 were more cautious in their concluding statements about improving health outcomes than they had been earlier regarding improving patient-centered interactions. However, their meta-analyses were unequivocal;

 

 引用されているのは2012年のコクランです。この元文献を少し確認しておきましょう。

メタ分析(Dwamena, 2012年)

  • P▶ 一般的な健康問題のある成人、または気管支喘息のある小児に対して
  • E▶ 訓練された一次医療機関の医師または看護師が患者中心のケア(PCC)を提供すると
  • C▶ しないのと比べて
  • O▶ 診療プロセス、満足度、健康に関する行動、健康状態(haelth statusはよくなるか
  • T▶ 治療、メタ分析・システマティックレビュー

《結果》※※

健康状態については

量的評価

dichotomous outcomes(2研究):リスク比 1.36(95%信頼区間 1.01~1.83)とPCC群で良好

continuous outcomes(8研究):標準化平均差(SMD)-0.25(95%信頼区間 -0.36~-0.15)とPCC群で良好

質的評価

26研究のうち12研究(46%)でPCC群で良好な結果。良好な結果の12研究のうち10研究が、前述の量的評価されたものであった。

 

 ここで、アウトカムのひとつとして採用されている"haelth status"とは以下の定義となっております。

Patient health status and well being, including physiological measures (for example of blood pressure); clinical assessments (for example of wound healing); patient self-reports of symptom resolution or quality of life; and patient self-esteem

 

 著者の結論は以下の通りです。

Interventions to promote patient-centred care within clinical consultations are effective across studies in transferring patient-centred skills to providers. However the effects on patient satisfaction, health behaviour and health status are mixed.

 

 長らく提唱され、臨床現場で活用されてきた手法ですが、真のアウトカムでは意外とたいした効果を挙げていないように思えます。

 

 伝統的な手法にこだわることなく、そろそろ変わらなければならないのかもしれません。

 

*1:患者中心の医療の方法」と邦訳されています。

*2:Dwamena F, Holmes-Rovner M, Gaulden CM, Jorgenson S, Sadigh G, Sikorskii A, Lewin S, Smith RC, Coffey J, Olomu A. Interventions for providers to promote a patient-centred approach in clinical consultations. Cochrane Database Syst Rev. 2012 Dec 12;12:CD003267. doi: 10.1002/14651858.CD003267.pub2. Review. PubMed PMID: 23235595.

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