地域医療日誌

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地域医療日誌

変化しつづける地域でともに悩み、考える医療

不適切な投薬は不適切だ?

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 薬が多くなると総死亡が多い - 地域医療日誌につづきます。ポリファーマシー、シリーズ最終回の予定です。

 

 ここまでで、薬の数が多くなることは、悪いアウトカムに直結していることがわかりました。

 一応補足しておくと、この結果では、薬の数が多いとよくない、ということまでは言えますが、薬を減らしたほうがよいか、という点については何も言えない、というところに注意したいです。

 多いとよくないんでしょ、だから減らすべきだ!という短絡的な論調になりがちですが、減らしたほうがよいかどうかについてはまた別に検証が必要な話になります。

 短絡的な主張の前に、よく文献を確認してください。

 ここは誤解がとても多いところですから、何度も繰り返しておきたいと思います。

 

ポリファーマシーはなくすべき?

 さてそれでは、ポリファーマシーを「悪の問題」として取り上げて介入をはじめようとする前に、介入をすることが善なのか、調べておきたいと思います。

 これもよく検討されていました。高齢者についてのコクランのシステマティック・レビューがあります。

システマティック・レビュー(Patterson, 2014年) *1

P▶ ポリファーマシーがある65歳以上の高齢者に
E▶ 不適切な処方を減らすように介入すると
C▶ 通常ケアに比べて
O▶ 処方の適切度スコアは改善するか、入院は少ないか
T▶ 治療、システマティック・レビュー
《結果》★★☆

入院を検討した研究は5研究ある。そのうちの1研究では介入群で入院や救急受診が有意に少なかったが、その他の4研究では有意に入院は少なくならなかった。

 

介入しても入院は少なくならず

 不思議な研究です。1次アウトカムのなかに処方の適切度をスコアで測定する、とあります。

Primary outcomes

The primary outcome was change in the prevalence of appropriate use of polypharmacy, as measured by a validated instrument. This was defined as meeting one or more of the following criteria.

•Appropriateness of medications prescribed, as measured by a validated instrument, for example, Beers criteria (Fick 2003) or MAI (Knight 2001).

• Prevalence of appropriate medication, for example, an increase in the number of appropriate drugs, as defined by a validated tool, for example, Screening Tool to Alert doctors to the Right Treatment (START) criteria (Barry 2007).

• Hospital admissions.

 

 不適切な処方の患者に介入して、入院が少ないかを検討するというのであればまだわかります。不適切な処方の患者に介入して、処方の適切度スコアが改善したかを測定する、とは何事か。そんなことが研究になるのでしょうか。

 そもそも、不適切な処方(PIM)は恣意的に決められた基準であり、根拠に基づく基準ではありません。

 だからこそ、その介入の効果は真のアウトカムで検討すべきです。

 しかし、残念ながらまだ検討されていません。少なくとも、入院については効果がないという結果が優勢となっています。

Authors’ conclusions

It is unclear whether interventions to improve appropriate polypharmacy, such as pharmaceutical care, resulted in clinically significant improvement; however, they appear beneficial in terms of reducing inappropriate prescribing.

 

 ポリファーマシーは介入して効果が出るのかどうかはまだ暗中模索の段階ということになるでしょう。

 積極的な介入をはじめるなら、その効果が立証されてから。それを待てないのなら、自らが臨床研究として実施し、その効果を見定めてからにすべきです。

 

 今後の研究にも注目したいと思います。

 

*1:Patterson SM, Cadogan CA, Kerse N, Cardwell CR, Bradley MC, Ryan C, Hughes C. Interventions to improve the appropriate use of polypharmacy for older people. Cochrane Database Syst Rev. 2014 Oct 7;10:CD008165. doi: 10.1002/14651858.CD008165.pub3. Review. PubMed PMID: 25288041.

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