地域医療日誌

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PPIで総死亡がふえる?

 
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 逆流性食道炎や消化性潰瘍でよく使われている、プロトンポンプ阻害薬(PPI)に関するネガティブデータが徐々に出てきています。

 最近、BMJ Open誌に発表されたアメリカのコホート研究は、ちょっと衝撃的な結果でしたので、ご紹介しておきます。

コホート研究(Xie, 2017年) *1

研究の概要

 新規に酸抑制薬を処方されたアメリカ退役軍人のうちで、プロトンポンプ阻害薬(PPI)を服用している人は、ヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2RA)を服用している人に比べて、総死亡は多くなるかを検討した、害についてのコホート研究。

 

主な結果

 新規にPPIまたはH2RAが処方された349,312人が対象。追跡期間中央値は5.71年。

 総死亡:PPI群 4.67/100人年、H2RA群 3.32/100人年

 PPI群ではH2RA群に比べて総死亡の調整ハザード比 *21.25(95%信頼区間 1.23, 1.28)とPPI群で25%多かった

 1:1傾向スコアマッチング *3 *4 では、調整ハザード比 1.34(95%信頼区間 1.29, 1.39)とPPI群で34%多かった。

 

PPIで総死亡が25%多い 

 PPI群ではH2RA群に比べて総死亡が25%多いという結果でした。これは交絡因子を調整した結果となっています。

PPI投与期間が長いと総死亡多い

 PPI投与期間と総死亡のハザード比も検討されています(166,098人)。30日以内を1とすると、

31–90日 1.05(95%信頼区間 1.02, 1.08)
91-180日 1.17(1.13, 1.20)
181-360日 1.31(1.27, 1.34)
361-720日 1.51(1.47, 1.56)

のように、投与期間が長期になるほど総死亡が多くなることが示されています。

原因はまだわかっていない

 原因については解明されているのでしょうか。少し考察されていますので、詳細は原著を。

The biologic mechanism underpinning the association of PPI use and risk of death is not clear.

Further studies are needed to characterise the biologic mechanisms that might explain the epidemiological findings in this report.

 

 すっきりしませんが、原因の解明はこれから、というところです。

 

 一定の治療期間を終えて症状が改善しているのにも関わらず漫然と長期処方することは、つつしみたいと思います。

 

 PPIについてはこちらの記事がよくまとまっています。

syuichiao.hatenadiary.com

*1:Xie Y, Bowe B, Li T, Xian H, Yan Y, Al-Aly Z. Risk of death among users of Proton Pump Inhibitors: a longitudinal observational cohort study of United States veterans. BMJ Open. 2017 Jul 4;7(6):e015735. doi: 10.1136/bmjopen-2016-015735. PubMed PMID: 28676480.

*2:Adjusted model controlling for eGFR, age, race, gender, number of serum creatinine measurements, number of hospitalisations, diabetes mellitus, hypertension, cardiovascular disease, peripheral artery disease, cerebrovascular disease, chronic lung disease, hepatitis C, HIV, dementia, cancer, GERD, upper GI tract bleeding, ulcer disease, H. pylori infection, Barrett’s oesophagus, achalasia, stricture and oesophageal adenocarcinoma, unless used in analysis inclusion criteria.

*3:Because exposure in this observational cohort is time dependent, we undertook 1:1 propensity score matching for the primary cohort where time-dependent propensity scores were calculated based on time-dependent Cox regression with all covariates.

*4:Propensity score(傾向スコア)とは? - 地域医療日誌 by COMET

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