地域医療日誌

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変化しつづける地域でともに悩み、考える医療

むずむず脚に鉄分が効く?―簡易検索の方法

1. 地域医療の総論的なこと 医学論文を調べるには
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 むずむず脚症候群(restless legs syndrome)に鉄分が効くという情報が、ウェブサイト上にあるようです。効果は検証されているのでしょうか?

 医学論文を調べてみましょう。せっかくなので、時間があまりない時に行う簡易検索の手順を説明しながら、確認してみましょう。

 

まずパブメドから

 UpToDate、DynaMedなどの有償の二次情報サービスを利用していない人にとって、最初に検索するデータベースは無償で利用できる医学論文データベース「パブメド」(PubMed)です。

www.ncbi.nlm.nih.gov

 以下、説明のためパブメドのキャプチャー画面を参照画像として使用いたします。

 

 上部に検索窓がありますが、そこに直接テキスト入力してしまう人が多いようです。ポイントはそこに入力しないことです。

PubMed Tools

(PubMedより引用)

の上から4行目、Clinical Queriesをクリックします。

 

 ここから検索すると、自動的に質の高い論文が検索できる検索式を使って検索してくれます。

 この検索窓に用語を入れます。今回は restless leg iron と入力しました。結果はこの通り。

f:id:cometlog:20141021114635p:plain

(PubMedより引用)

 

  治療に関する論文で、絞りこみをかけたい、という今回のような場合には、Categoly: Therapy、Scope: Narrow を選んで検索します。

 検索されたのは、論文が14、システマティックレビューが10、となりました。うまくいきました。

 

 ここまでは、ものの数秒です。

 

タイトルから探す

 あとは検索された論文のタイトルを参考に、抄録をクリックして読んでいくだけです。

 新しいものからタイトルをざっと確認します。システマティックレビューが見つかれば、一気に情報収集ができます。

 

 今回は、タイトルから2つのメタ分析をピックアップしました。

www.ncbi.nlm.nih.gov

www.ncbi.nlm.nih.gov

 

 2つ目のほうは、まさしく疑問にぴったりのコクランレビューです。これは期待できるかもしれません。

 

 ここまで、数分程度です。

 

抄録を確認する

 それでは次に、抄録にざっと目を通してみます。確認するポイントはいつも決まっています。

  • P▶ どんな対象者に
  • E▶ どんな治療をすると
  • C▶ どんな治療に比べて
  • O▶ 結果はどうか
  • T▶ 研究デザイン

《結果》は何か

 

 詳しくは、こちらの本をご参照ください。

ステップアップEBM実践ワークブック―10級から始めて師範代をめざす

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 2つの抄録を順番に見ていきましょう。鉄分に関する部分のみ拾っていきます。

メタ分析(Hornyak, 2014年) *1

  • P▶ むずむず脚症候群の人に
  • E▶ 鉄剤を投与すると
  • C▶ プラセボまたは他の治療と比べて
  • O▶ 自覚症状やQOLスコアは改善するか
  • T▶ 治療、ランダム化比較試験のメタ分析

 

 ここでポイントはO(アウトカム)でしょうか。抄録の記載はこのようになっています。 

Outcome measures were the international RLS study group severity scale (IRLS), clinical global impression-improvement, (CGI-I), periodic limb movement index (PLMI), and psychosocial parameters such as quality of life (QoL).

 

 鉄剤に関する研究は6研究あります。結果については、このようになっています。

Although treatment effects showed large variations, changes in the IRLS in the substance groups were comparable (P = 0.78), with a mean reduction in the IRLS of -5.47 points for dopamine agonists, -5.12 points for anticonvulsants (α₂δ ligands and levetiracetam), and -4.59 points for iron treatments. The CGI-I indicated slightly different treatment effects between the substance groups, while PLMI changes during treatment differed (P = 0.002), showing a marked decrease with dopamine agonists (-22.50/h), levodopa (-26.01/h), and oxycodone (-34.46/h) compared with a slight decrease for anticonvulsants (α₂δ ligands and levetiracetam; -8.48/h) and iron treatments (-13.10/h).

 

 結論にはこのように書かれています。

The group of iron treatments consisted of a few trials with different compounds in oral and intravenous application form, respectively. For a more differentiated evaluation of the efficacy of iron treatments further studies are necessary.

 

 ここまでざっと目を通して、鉄剤の効果は他の治療に比べて大きくはない、まだ研究が十分なされていない、といったことがつかめるでしょう。

 

 ここまでつかめたところで、これ以上は深入りしません。次に行ってみましょう。

メタ分析(Trotti, 2012年) *2

  • P▶ むずむず脚症候群の人に
  • E▶ 鉄剤を投与すると
  • C▶ プラセボ、他の治療、無治療と比べて
  • O▶ 自覚症状は改善するか
  • T▶ 治療、ランダム化比較試験のメタ分析

 

  こちらのメタ分析のO(アウトカム)はこのようになっています。一次アウトカムが記載されています。

Our primary outcome was restlessness or uncomfortable leg sensations, which was quantified using the IRLS severity scale in four trials and another RLS symptom scale in a fifth trial.

 

 症状スコアとして、international RLS study group severity scale(IRLS)が用いられた4研究について、メタ分析で検討されています。

Combining data from the four trials using the IRLS severity scale, there was no clear benefit from iron therapy (mean difference in IRLS severity scores of -3.79, 95% CI: -7.68 to 0.10, p = 0.06). However, the fifth trial did find iron therapy to be beneficial (median decrease of 3 points in the iron group and no change in the placebo group on a 10 point scale of RLS symptoms, p = 0.01).

 

 IRLSで検討した4研究では効果なし。しかし、別の症状スコアで検討した1研究のみで有効という結果がみられたようです。

 

 結論はこのようになっています。

There is insufficient evidence to determine whether iron therapy is beneficial for the treatment of RLS. Further research to determine whether some or all types of RLS patients may benefit from iron therapy, as well as the best route of iron administration, is needed.

 

 ということで、まだ現状では根拠となる研究が十分ないため、鉄剤の有効性については判断できない、ということになるでしょう。

 

 ここまでを診療の合間に検索できるようになることが理想的ですが、難しいでしょうか。余裕があれば、原著論文までたどりたいところです。

 

むずむず脚に鉄分が効く?―簡易検索の方法

  • 簡易検索で2つのメタ分析が検索され、検討した。
  • いずれもむずむず脚症候群に対して鉄剤を投与した研究は少なく、自覚症状改善につながるかどうかは結論が分かれている。

 

*1:Hornyak M, Scholz H, Kohnen R, Bengel J, Kassubek J, Trenkwalder C. What treatment works best for restless legs syndrome? Meta-analyses of dopaminergic and non-dopaminergic medications. Sleep Med Rev. 2014 Apr;18(2):153-64. doi: 10.1016/j.smrv.2013.03.004. Epub 2013 Jun 6. Erratum in: Sleep Med Rev. 2014 Aug;18(4):367-8. PubMed PMID: 23746768.

*2:Trotti LM, Bhadriraju S, Becker LA. Iron for restless legs syndrome. Cochrane Database Syst Rev. 2012 May 16;5:CD007834. doi: 10.1002/14651858.CD007834.pub2. Review. PubMed PMID: 22592724; PubMed Central PMCID: PMC4070449.

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