以前の記事 ALSにメジコン? - 地域医療日誌 につづきます。
リルテックはどうですか?
筋萎縮性側索硬化症(ALS)に対する治療について、もう少し確認しておきましょう。ALSの治療、病勢進展の抑制に適用があるリルテック(一般名 リルゾール)について調べてみました。
コクランのメタ分析がありましたので、ご紹介します。
メタ分析(Miller, 2012年) *1
研究の概要
ALSと診断された人がリルゾール100mg/日 を内服すると、プラセボに比べて気管切開しない生存期間が長くなるか、を検討したランダム化比較試験のメタ分析。
主な結果
4研究(リルゾール群 974人、プラセボ群 503人)の結果を統合。
12か月での死亡または気管切開(3研究, 1282人)については、リルゾール群で 419/1000人、プラセボ群で 510/1000人、ハザード比 0.83(95%信頼区間 0.70, 1.00)とリルゾール群で少ない傾向。
12か月での死亡(3研究, 799人)に限定すると、リルゾール群で 343/1000人、プラセボ群で 440/1000人、ハザード比 0.78(95%信頼区間 0.65, 0.92)とリルゾール群で少なかった。
有害事象では、嘔気がリルゾール群で相対危険 1.55(95%信頼区間 1.06, 2.28)と多く、無力症がリルゾール群で相対危険 2.62(95%信頼区間 1.59, 4.31)と多かった。
生存率1年で9%の差
当初のメタ分析の1次アウトカムではありませんが、単に生存率で比べてもかなりの効果がみられているようです。
1年の生存率ではリルゾール群で58%、プラセボ群で49%と、9%の生存率の差がみられています。
生存期間(中央値)ではリルゾール群14.8か月、プラセボ群11.8か月と、2~3か月の差がみられています。
なかなかいい結果が出ているようです。覚えておきたいところです。
*1:Miller RG, Mitchell JD, Moore DH. Riluzole for amyotrophic lateral sclerosis (ALS)/motor neuron disease (MND). Cochrane Database Syst Rev. 2012 Mar 14;(3):CD001447. doi: 10.1002/14651858.CD001447.pub3. Review. PubMed PMID: 22419278.