地域医療日誌

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塩分は少ないほうが体にいい?

 
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 今週のNew England Journal of Medicine誌 *1は食塩に関する論文がまとまって掲載されていました。

 その中からひとつ、ご紹介します。

 

塩分と死亡の関係

前向きコホート研究(O'Donnell , 2014年) *2

  • P▶ 早朝尿サンプルのとれた10万人の参加者について
  • E▶ 尿中ナトリウム・カリウム排泄量は
  • C▶ 
  • O▶ 総死亡+心血管死亡の予後因子となるか
  • T▶ 予後、前向きコホート研究

《結果》※※
17カ国、101,945人が対象。尿中ナトリウム・カリウム排泄量はKawasaki formulaによる推定値。尿中排泄量推定値の平均はナトリウム 4.93g/日、カリウム 2.12g/日。

尿中ナトリウム排泄量 4-5.99g/日(推定塩分摂取量 *3 10-15g/日)に対して、
尿中ナトリウム排泄量 7g/日(推定塩分摂取量17.5g/日)以上では
 総死亡+心血管死亡 オッズ比 1.15(95%信頼区間 1.02~1.30)
 総死亡 オッズ比 1.25(95%信頼区間 1.07~1.48)
 心血管死亡 オッズ比 1.16(95%信頼区間1.01~1.34)

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多変量解析:age, sex, educational level, ancestry (Asian vs. non-Asian), alcohol intake, body-mass index, and status with respect to diabetes mellitus, a history of cardiovascular events, and current smoking.

 

塩分少ないほうが総死亡・心血管死亡が多い

 10万人という、かなり大規模なコホート研究です。

 総死亡+心血管死亡については、推定塩分摂取量10-15g/日に比べて、17.5g/日以上になると15%多くなっていたという結果です。17.5g/日というのはかなりの高塩分食になるでしょう。

 さらに驚くべきことに、低塩分である推定塩分摂取量7.5g/日未満では、むしろ高塩分食よりも総死亡・心血管死亡が多かったという結果になっています。

 

 減塩が叫ばれていますが、この研究結果をふまえて目標値を設定する必要があるかもしれません。

 尚、この研究は減塩食の効果を検証した介入研究ではありません。ある時点での塩分摂取量とその人の予後との関連をみた観察研究です。

 よく間違える方がおりますので、解釈には十分ご注意ください。

 

塩分は少ないほうが体にいい?

  • 10万人の前向きコホート研究によると、10-15g/日の塩分摂取で最も総死亡・心血管死亡が少ない。
  • 7.5g/日未満の低塩分食では、17.5g/日以上の高塩分食に比べても、総死亡・心血管死亡が多い。
  • この結果からは、少なくとも塩分が少ないほうが体にいい、とはいえない。

*1:http://www.nejm.org/

*2:O'Donnell M, Mente A, Rangarajan S, McQueen MJ, Wang X, Liu L, Yan H, Lee SF, Mony P, Devanath A, Rosengren A, Lopez-Jaramillo P, Diaz R, Avezum A, Lanas F, Yusoff K, Iqbal R, Ilow R, Mohammadifard N, Gulec S, Yusufali AH, Kruger L, Yusuf R, Chifamba J, Kabali C, Dagenais G, Lear SA, Teo K, Yusuf S; PURE Investigators. Urinary sodium and potassium excretion, mortality, and cardiovascular events. N Engl J Med. 2014 Aug 14;371(7):612-23. doi: 10.1056/NEJMoa1311889. PubMed PMID: 25119607.

*3:推定塩分摂取量=尿中ナトリウム排泄量×2.5

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