地域医療日誌

変化しつづける地域でともに悩み、考える医療

突発性難聴にはやはりステロイド?

 
スポンサーリンク

質問

 突発性難聴を発症した人がステロイドを服用すると、聴力はよくなりますか?

  突発性難聴にはいい薬がないのですか? - 地域医療日誌のつづきです。 

 

ステロイドに効果はある?

 

 前回の記事では、突発性難聴には今のところ有効な治療がない、ということがわかってきました。そこでまず、ステロイド(glucocorticoids)が使われることが多いようですが、少しは効果があるのでしょうか?

 前回検索した中にコクランのシステマティック・レビューがありましたので、確認しておきましょう。

システマティック・レビュー(Wei, 2013年) *1

研究の概要  

 あらゆる年齢の突発性難聴の患者にステロイドを使用すると、使用なしまたはプラセボに比べて、聴力は改善するのか、について検討した研究。

 システマティック・レビューでは3研究(参加者数267人)のみが採用基準に合致し、いずれも研究の質は高くなかった。このうちひとつのランダム化比較試験(Wilson, 1980年)では、132人の参加者のうち少なくとも52人の割振りの隠蔵が不適切で、ブラインディングも不十分だった。

 

主な結果

 アウトカムが異なるため結果は統合されていない。

  • 治療後6日での聴力改善はステロイド群で60%、プラセボ群で63%(リスク比 0.94、95%信頼区間 0.48 to 1.85)。フォローアップ時点(14-90日後、平均33日後)の聴力改善はステロイド群で80%、プラセボ群で81%(リスク比 0.98、95%信頼区間 0.64 to 1.48)とほぼ同等であった。(Cinamon, 2001年)
  • 治療後8日での聴力改善はプレドニゾロン群で25.5 dB、プラセボ群で26.4 dB。3か月後にはプレドニゾロン群で39 dB、プラセボ群で35.1 dBとほぼ同等であった。(Nosrati-Zarenoe, 2012年)
  • 聴力改善がみられたのは、ステロイド群で61%、プラセボ群で32%(リスク比 1.30、95%信頼区間 0.91 to 1.86)とステロイド群で多い傾向がみられた。(Wilson, 1980年)

 

研究自体が少ない

 

 この3研究はいずれもオージオメトリーによる聴力検査測定値を検討した、「代用のアウトカム」研究となっています。

 残念ながら、網羅的なシステマティック・レビューでも、小規模のランダム化比較試験が3件あるのみで、そのうち最近の2件では聴力の改善が認められなかったという結果でした。

 それにも関わらず、ステロイドが第一選択薬とされているのは、他にいい治療薬がない、ということなのでしょう。将来の研究に期待したいところです。

 時間があれば、突発性難聴の他の研究についても覗いてみたいと思います。

 

突発性難聴にステロイド?

  • 突発性難聴に対するステロイドの効果を検証した研究自体が少ない。
  • システマティック・レビューでは3件の質の高くないランダム化比較試験があるのみで、そのうち2件においては聴力の改善を確認できなかった。

*1:Wei BP, Stathopoulos D, O'Leary S. Steroids for idiopathic sudden sensorineural hearing loss. Cochrane Database Syst Rev. 2013 Jul 2;7:CD003998. doi: 10.1002/14651858.CD003998.pub3. Review. PubMed PMID: 23818120.

 Copyright © 2003, 2007-2017 地域医療ジャーナル