地域医療日誌

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地域医療日誌

変化しつづける地域でともに悩み、考える医療

溶連菌の再発でも迅速検査していいですか?

3. 診断や治療についての疑問
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質問

 溶連菌の治療後で再発が疑われる人についても、溶連菌迅速検査の結果は当てになりますか?

 

治療したのにまた再発?

 最近、A群β溶血性連鎖球菌(溶連菌)による咽頭炎の診断で治療したばかりの人が、また咽頭痛、発熱の症状がみられたため受診されました。

 10日間の抗菌薬の治療を終えたばかりで、薬も処方通り飲まれています。しかし、症状や診察所見からは、やはり溶連菌性咽頭炎が疑われます。

 こんな時、溶連菌迅速検査の意義はあるのでしょうか?

 調べたところ、この疑問に答えるひとつの研究が見つかりました。

横断研究(Sheeler, 2002年) *1

研究の概要

 救急外来で咽頭炎の診断を受けた人のうち、過去28日以内に溶連菌性咽頭炎の診断で抗菌薬治療を受けていた患者に溶連菌迅速検査を行うと、培養検査に比べて検査特性(感度・特異度)はどれほどかを検討した、診断に関する横断研究。

 

主な結果

 最近の溶連菌性咽頭炎既往あり222人、既往なし242人が対象。結果の表の一部を改変して作図した。

f:id:cometlog:20160207011252p:plain

 溶連菌既往ありでは感度91%、特異度96%と良好な検査特性であった。

 

むしろ既往ありのほうがよい結果

 溶連菌既往なしに比べて、既往ありのほうが感度が高く、特異度は変わらない、という結論となっています。

 偽陰性率では既往あり9%、既往なし30%となり、むしろ通常の初回の咽頭炎の検査では、偽陰性に注意が必要ということになるでしょう。

 

 感度・特異度を図にしておきます。

f:id:cometlog:20160207011615p:plain

 

菌がいるかどうかわかるだけ

 ここでひとつ注意したいことは、「溶連菌の有無」で評価していることです。

 

 いわゆる「ゴールドスタンダード」は溶連菌培養検査です。つまり、溶連菌が培養で生えてくるのか、ということを評価しているだけです。

 

 通常の臨床場面では、この後に、治療が必要かどうか、治療をした結果がどうか、といった問題が存在するわけですが、この研究ではそこは取り扱っていません。

 

 つまり、検査で菌がいるかどうかはわかりますが、検査で治療方針の決定や予後の保証はできない、という点を誤解のないように、強調しておきたいと思います。

 

 検査結果に溺れてはいけません。

 

これからどうするか?

 最近の溶連菌の既往があっても、迅速検査を行なうことは診断に寄与するだろう、ということがわかります。

 必要な場合には、ためらわずに検査をしたいと思います。

 

*1:Sheeler RD, Houston MS, Radke S, Dale JC, Adamson SC. Accuracy of rapid strep testing in patients who have had recent streptococcal pharyngitis. J Am Board Fam Pract. 2002 Jul-Aug;15(4):261-5. PubMed PMID: 12150457.

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