地域医療日誌

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地域医療日誌

変化しつづける地域でともに悩み、考える医療

やはり扁桃腺はとったほうがよいですか?

3. 診断や治療についての疑問
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質問

 歌を歌う仕事をしています。扁桃腺がよく腫れるのですが、手術したほうがよいでしょうか?

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よく腫れるなら手術?

 扁桃腺がよく腫れる人がいます。こどもなら、そのたびに学校を休んでしまったり、病院を受診してしまう、という問題があるでしょう。大人なら、仕事に支障が出るかもしれません。

 その都度なんとか抗菌薬でしのぐ、という方法もあるでしょう。それとも手術で扁桃摘出術をしてしまったほうがよいのでしょうか? その線引きはどのあたりにあるでしょうか?

 

 コクランのメタ分析がありましたので、確認しておきましょう。

メタ分析(Burton, 2014年) *1

研究の概要

 急性反復性扁桃炎または慢性扁桃炎の小児または成人に対して、手術で扁桃摘出術を行うと、手術なし(治療なし、短期抗菌薬の繰り返し、長期抗菌薬)に比べて、扁桃炎・咽頭痛エピソード数や重症度、咽頭痛がある日数、死亡や手術合併症は少ないか、を検討したランダム化比較試験のメタ分析。

 

主な結果

 7つのランダム化比較試験の結果を統合。そのうち小児は5研究(987人)、成人は2研究(156人)。手術の有効性についての情報が得られたのは、小児は術後の追跡期間1年まで、成人では5-6か月までのものであった。

 小児を対象とした12か月での検討では、扁桃炎・咽頭痛エピソード数は-0.56回 [95%信頼区間 -1.04, -0.07] と扁桃摘出術群で少ない。咽頭痛がある日数については、12か月で-5.13日 [95%信頼区間 -8.06, -2.20] と少ない。

 成人を対象とした6か月の検討では、扁桃炎・咽頭痛エピソード数は-3.61回 [95%信頼区間 -7.92, 0.70] と扁桃摘出術群で少ない傾向がみられた。咽頭痛がある日数については、6か月で-10.64日 [-15.52, -5.76] と少ない。

 死亡率や合併症を検討した研究はなかった。

 

半年で10日をどう考えるか

 成人の研究では、6か月間で平均3~3.5回の扁桃炎、1年では平均5回の扁桃炎をおこしている人が対象となっています。かなり扁桃炎の多い人ですね。

 こういった人では、手術をすると半年でほとんど扁桃炎が起こらなくなる程の効果となるでしょう。咽頭痛も半年で10日少なくなる、ということです。

 小児では1年で5日程度、学校に行ける日が増えるかもしれません。(学校や仕事を休む日数も検討しており、半年で-3.3日となっています。)

 

 再発を減らす短期的な効果はありそうです。長期的な予後や術後合併症については、十分な検討はまだなされていないのが現状です。

 

 頻繁に仕事に穴をあけてしまう、学校を休んでしまって困る、という場合には、手術はひとつの選択肢となりそうです。

*1:Burton MJ, Glasziou PP, Chong LY, Venekamp RP. Tonsillectomy or adenotonsillectomy versus non-surgical treatment for chronic/recurrent acute tonsillitis. Cochrane Database Syst Rev. 2014 Nov 19;(11):CD001802. doi: 10.1002/14651858.CD001802.pub3. Review. PubMed PMID: 25407135.

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