地域医療日誌

変化しつづける地域でともに悩み、考える医療

じんま疹の原因は何ですか?

 
スポンサーリンク

質問

 じんま疹の原因は何ですか?

f:id:cometlog:20170525225358j:plain

 

全体の12-22%の人が経験 

 一生のうちで、何らかのじんま疹に見舞われる人は12-22%といわれます。案外、経験している人は多いものです。突然、あなたを襲ってくるかもしれません。

 急性じんま疹についての最近のレビュー(Sabroe, 2014年) *1 を参考にしながら、じんま疹のおさらいをしておきたいと思います。

 

30-50%は原因不明

 じんま疹の原因は何ですか、という質問はよく聞かれるのですが、答えは簡単ではありません。ひとつの原因を特定できることが少ないからです。

 これまでの研究では、じんま疹の30-50%は原因不明(特発性)と言われています。

 

 じんま疹の原因として報告のあるものをまとめておきます。

  • 特発性
  • 感染症(ウイルス性):アデノ、かぜ、サイトメガロ、エンテロ、EB、A,B,C型肝炎、単純ヘルペス、パルボB19、RS、ロタ、水痘帯状疱疹
  • 感染症(細菌性):A群β溶血性連鎖球菌、インフルエンザ桿菌、ブドウ球菌
  • 感染症(その他):アニサキス、ブラストシスチスホミニス、マラリア、マイコプラズマ、疥癬
  • 薬剤:ACE阻害薬、抗菌薬(特にセファロスポリン系、ペニシリン系)、抗ヒスタミン薬、抗TNF-α薬、アスピリン・NSAIDs、血液製剤、カンデサルタン、硬膜外ヒアルロニダーゼ、ガドリニウム含有造影剤、免疫グロブリン製剤、ヨード造影剤、イソトレチノイン *2、メチルプレドニゾロン(経口)、オピオイドやトラマドール、アセトアミノフェン、PPI、ワクチン
  • 食物:牛乳、卵、魚やシーフード、フルーツ(桃、キウイなど)、ナッツ、トマトやその他の野菜、小麦、酵母
  • その他:“Gomutra”うがい、ハリネズミの毛、虫刺され、ラテックス、SLE、甲状腺髄様癌やその他の甲状腺疾患

 

 日本ではあまり見かけない原因も書かれていますね。

 じんま疹と判断したら、特定できる原因がないか情報収集をすることになります。検査ではなく、詳細な病歴や診察が重要ということになります。

 

じんま疹以外の病気

 じんま疹のようにみえて、実は別の病気がみつかることもあります。いわゆる「鑑別疾患」はこちら。 

  • 多形紅斑 Erythema multiforme
  • 中毒性紅斑 Toxic erythema
  • 急性湿疹・急性接触性皮膚炎 Acute eczema or acute contact dermatitis
  • 自己免疫性水疱症 Autoimmune bullous diseases
  • 妊娠性掻痒性蕁麻疹様丘疹 Polymorphic eruption of pregnancy
  • 蜂窩織炎・丹毒 Cellulitis or erysipelas
  • プロゲステロン誘発性皮膚疾患 Progesterone-induced dermatosis
  • じんま疹様血管炎 Urticarial vasculitis
  • 全身性エリトマトーデス Systemic lupus erythematosus
  • サバ類似魚中毒(ヒスタミン中毒) Scrombroid fish poisoning

 

 まぎらわしい鑑別疾患がありますので、注意が必要です。

 病歴や皮膚所見で判断できるものもありますから、常に念頭に置いておきたいものです。

 

ヒスタミン中毒

 この鑑別疾患にも挙げられている、サバ類似魚中毒(スコンブロイド中毒)について。

 サバ科(マグロ、カツオ、サバなど)類似魚の筋組織に存在する遊離ヒスチジンの腐敗発酵で発生するヒスタミンに起因する中毒です。

 鮮度の低下した魚だけではなく、新鮮であっても常温で4時間以上放置するなどでも発生し、熱に安定のため加熱処理では予防できません。

 治療は抗ヒスタミン薬です。

 

 詳細はこちらの情報をご参照ください。

[PDF] 魚に起因するヒスタミン中毒(サバ科類似魚類による中毒)|日本中毒センター 

*1:Sabroe RA. Acute urticaria. Immunol Allergy Clin North Am. 2014 Feb;34(1):11-21. doi: 10.1016/j.iac.2013.07.010. Epub 2013 Aug 24. Review. PubMed PMID: 24262686.

*2:アキュテイン(ACCUTANE)(わが国で未承認の難治性ニキビ治療薬)に関する注意喚起について |厚生労働省

 Copyright © 2003, 2007-2017 地域医療ジャーナル