早く治療をはじめたほうがよい?
帯状疱疹については、いくつか誤解がありそうです。
製薬会社情報のため注意が必要ですが、参考までにこちらを。
帯状疱疹 HOME *1疑わしければ、すぐに皮膚科へ。
症状を早く軽減し、回復後に痛みを残さないために。
帯状疱疹にはできるだけ早く抗ヘルペスウイルス薬を開始することが必要、とされています。一般的には処方されることが多いのではないでしょうか。
帯状疱疹の痛みだけではなく、後で神経痛が残ることが知られており、治療の目的は主にこれらの痛みを少なくすることです。
それでは、治療しなければどの程度痛みが残るのでしょうか?調べてみました。
コホート研究(Helgason, 2000年)*2
- P▶ 初発の帯状疱疹の患者を
- E▶ 発症後に経過観察すると
- C▶
- O▶ 帯状疱疹後神経痛はどの程度発生するか
- T▶ 予後、前向きコホート
《結果》※※
421人が対象(抗ウイルス薬投与は4.0%のみ)。
60歳未満では3か月後に神経痛が残っていたのは1.8% (95%信頼区間 0.59% to 4.18%)のみで、それも痛みは軽度であった。
60歳以上では神経痛の頻度はやや多くなるが、重度の痛みは1.7% (95%信頼区間 2.14% to 6.15%)のみであった。
患者の年齢層ごとに「痛みなし」の割合を示す。
ほとんど痛みは自然に消える
抗ウイルス薬を投与されていない患者の予後はどうなったかを検討した、貴重な前向き研究です。発症後3か月まで経過すると、ほとんどの患者で痛みは消失していることがわかります。
この研究から、そもそも帯状疱疹後神経痛のほとんどは自然に治癒する、ということが確認されています。
*1: グラクソ・スミスクライン株式会社 http://herpes.jp/z/
*2:Helgason S, Petursson G, Gudmundsson S, Sigurdsson JA. Prevalence of postherpetic neuralgia after a first episode of herpes zoster: prospective study with long term follow up. BMJ. 2000 Sep 30;321(7264):794-6. PubMed PMID: 11009518; PubMed Central PMCID: PMC27491.