地域医療日誌

新しい医療のカタチ、考えます

認知症 の検索結果:

認知症本人の情報発信

認知症になっても安心して暮らせる地域へ 認知症施策推進大綱が発表 共生と予防が柱 もう医療には頼れないという宣言だった 認知症本人の発信を 認知症当事者の本 認知症になっても安心して暮らせる地域へ 「認知症なっても展」に参加しました。渋谷区長の長谷部 健さんが音頭をとり、渋谷区が新庁舎ではじめて開催したイベントです。 認知症になっても安心して暮らせる街づくりを、「若者の街」渋谷から全国へ発信したい、という意気込み。未来の日本を見据えた、すてきな取り組みだと思います。 渋谷区公…

地域医療編集室、最近の動向

…で開催中のイベント「認知症なっても展」では、これまでの活動「高齢者に音楽を届けよう!」について紹介する機会をいただきました。 www.city.shibuya.tokyo.jp 医療と音楽のコラボをきっかけとして、広く認知症、高齢者、障がい者、そしてすべての人にとってフレンドリーな地域社会づくりについて、できることから取り組んでいきたいと考えております。 医療とアートのコラボについても、活動をはじめました。 これからの医療・健康情報におけるキーワード 恒例となりました秋の企画…

アリセプトで死亡が少なくなる?

…の効果は幻だった? 認知症の人アセチルコリンエステラーゼ阻害薬を服用しても、認知機能改善効果は小さいことがわかっています*1。 ドネペジル(商品名 アリセプト)については多数のランダム化比較試験が発表されていますが、代表的な研究をひとつご紹介しておきましょう。 メタ分析(Birks, 2018年)*2 研究の概要 アルツハイマー病患者がドネペジルを12週間以上服用すると、プラセボに比べて認知機能(ADAS-Cog*3またはMMSE*4)、ADL、QOLが改善するか、有害事象が…

嗅覚が低下すると寿命が短くなる?

…総死亡の関係 味覚と認知症の関係を調べていたはずなのに、芋づる式に論文が次々掘り出されてくる始末。(情報提供や示唆していただいた方々、ありがとうございます。) 情報検索の過程で、嗅覚障害と総死亡の論文も見つけました。こちらも気になりますよね? さっそく手にしましたので、ご紹介いたします。 コホート研究(Devanand、2015年) *1 研究の概要 65歳以上の高齢者のうち、嗅覚テスト(University of Pennsylvania Smell Identificat…

味覚が低下すると寿命が短くなる?

…味覚がある人に比べて認知症発症が多くなりますか? (予後に関する問題) 情報検索はPubMedから コホート研究(Solemdal, 2014年) *2 味覚低下で3.2倍総死亡が多い 感覚が鈍くなると・・・ 嗅覚低下も関連あり 味覚低下で認知症が2.2倍 情報検索はPubMedから ひさびさの #エビリク (エビデンスリクエスト)です。ツイッター経由で受け付けました。ご質問、ありがとうございます。 PubMed検索しました。いつものClinical Queriesでポンッ!…

高齢者フレンドリーな地域へ

ほんの紹介です。 認知症や高齢者についての地域活動について相談をはじめたところ、タイムリーに 認知症フレンドリー社会 (岩波新書) という本が発刊されました。 いまのぼくにはしっくりくる本でした。 つぶやきを紹介しながら、整理したいと思います。 "認知症を医療やケアだけの問題だととらえてしまうと、認知症が投げかける課題の全体像をとらえきれないのではないかと思っています。"徳田 雄人 の 認知症フレンドリー社会 (岩波新書) を Amazon でチェック! https://t.…

運動しても認知症予防にはならなかった

質問 運動すると認知症は予防できますか? 論文を読む前に 習慣か介入か だれを調べたのか 運動で認知機能は改善するか メタ分析(Young, 2015年) *1 結果は惨敗 論文を読む前に ひさしぶりに本題へ戻りましょう。質問からの論文検索です。 この手の質問は、情報の解釈に注意が必要です。 習慣か介入か まず、運動習慣なのか運動介入なのか。 もともと運動習慣がある人は、認知症になりにくいのか? 運動をすると、認知症になりにくくなるのか? この2つの疑問は別物です。前者はふだ…

現象のさらなる探求へ

…参加しました。施設の認知症患者に音楽を聞かせる取り組みを紹介したドキュメンタリー映画「パーソナル・ソング」の内容をふまえ、現場でどう取り組んでいるのかを「音楽が医療を変える?」をテーマに、簡単にご紹介させていただきました。 これまで数か月にわたって音楽療法士が同行する訪問診療を試行的に行ってきましたが、音楽が入ることで雰囲気ががらりと変わることがあります。 医療の「空気が変わる」という表現がぴったりです。 言葉ではうまく表現できない(個人情報もあるので表現しにくい)のですが、…

なぜ今、認知症に音楽なのか?

…中止になるものも。 認知症を根治する「夢の薬」は、まだ夢のなか。 今のところ、薬物療法には限界があり、過度の期待は禁物です。 www.bycomet.tokyo 答えは薬ではなかったかもしれない それでは、薬に頼らない方法、非薬物療法はどうでしょう。案外いい結果になっているものもあります。 テクノロジーの開発とともに、新しい方法がこれからも期待できるかもしれません。むしろ、こちらにはちょっと期待しています。 現場からケアを転換しよう 負担と副作用が隣り合わせの薬物治療から、楽…

2018年の認知症論文はさえなかった

2018年の認知症治療 認知症の発症について 従来の治療 新しい治療 非薬物療法が注目 クロニクル・プロジェクト 2018年の認知症治療 今年の認知症治療、ざっくりさらってみました。 少し前に検索し、はてなブックマーク・ツイッター連携で発信したものですが、ここに並べてみます。 認知症の発症について 睡眠時間と認知症 #認知症2018 / “Association Between Daily Sleep Duration and Risk of Dementia and Mor…

したくないことはしなくていい自由

…コトバを介する評価 認知症や高齢者の何を問題にしたいのか? したいことができる自由 Yahoo! ニュースから ちょっと心が動かされてツイッターでもつぶやいたのですが、ここにまとめておきます。発端となったのはこちらの記事。 “補聴器の使用が認知症の進行を75%遅らせる、英研究(The Telegraph) - Yahoo!ニュース” https://t.co/NwLK0vzB5h— 地域医療日誌 (@bycomet) 2018年10月16日 #元論文 元論文を調べてみました。…

認知症ピアサポートへ国が支援

認知症高齢者数は推計人数 先行研究では4-11% 米国の調査では2% ピアサポートに支援 新オレンジプラン 新オレンジプランの到達度 パーソナルソングも認知症カフェだった 認知症カフェのエビデンス? 世界アルツハイマーデー(9月21日)があったせいか、この時期になると認知症関連の話題がメディアをにぎわします。 まずは、昨年発表したぼくの認知症関連の記事をふりかえってみたいと思います。 認知症高齢者数は推計人数 先行研究では4-11% www.bycomet.tokyo 65歳…

音楽は認知症にどんな効果をもたらすのか

過去記事 音楽で認知症のうつや不安は軽減する - 地域医療日誌 の更新記事です。 認知症に対する音楽の効果を検討したメタ分析 メタ分析(Steen, 2018年) *1 わずかな効果はみられた 音楽の治療的介入とは 音楽療法士では効果なし 新しい評価軸を 認知症に対する音楽の効果を検討したメタ分析 認知症に対する、あらゆる種類の音楽的介入を検討したコクランのメタ分析。2017年版が発表されたばかりですが、2018年にも更新されて発表されました。 2017年版では17研究が採択…

音楽が医療を変える

…あるあたたかな医療 認知症、がんなどの終末期をはじめ、多くの高齢者の疾患では薬物治療の効果に限界があります。 しかし、医療ではもうやれることがありません、とさじを投げるのは早すぎます。 苦しむ人を癒やすため、まだまだやれることがあるばずです。 治療が無効であるという「冷酷なエビデンス」の向こうには、むしろつらい治療はやらなくてもいいという、人を癒やす「あたたかな医療」があります。 そう思えるだけでも、きっと、高齢者も家族も介護者も、そして医療者も、やさしい気持ちになれることで…

パーソナルソング 高齢者に音楽を届けよう!

…で始まった音楽による認知症ケアの取り組み「Music & Memory」を紹介したドキュメンタリー映画です。 この機会をお見逃しなく! 意見交換会「高齢者に音楽を届けるために」 さらに、意見交換会「高齢者に音楽を届けるために」も開催いたします。 ここでは、映画の感想を共有するだけではなく、先行事例を参考にしながら、参加者のみなさんと一緒に考えていきたいと思います。 「Music & Memory」を国内で試験導入した先行事例については、NPO法人 エコロジーオンラインの上岡裕…

これから書きたい記事

…2018年8月23日認知症だから、要介護状態だから、障害者だから、貧困者だから、高齢だから…— 地域医療日誌 (@bycomet) August 23, 2018 心電図健診は意味がない。 / “Screening for Cardiovascular Disease Risk With Electrocardiography: US Preventive Services Task Fo…” https://t.co/sS3YAmCvuz— 地域医療日誌 (@bycomet…

エビデンスの話をしよう

…スでは保険適用外に 認知症治療薬のエビデンス エビデンスの話を フランスでは保険適用外に 最近、認知症治療薬(コリンエステラーゼ阻害剤)がフランスで保険適用外となったことが報道されました。 “抗認知症薬の効果「不十分」 仏、4種類を保険適用外に:朝日新聞デジタル” https://t.co/cIKEpyeUnK— 地域医療日誌 (@bycomet) 2018年7月28日 “「医療上の利益が不十分」アルツハイマー型認知症治療薬 フランスで保険適用を外されたワケ | Answer…

施設高齢者、血圧をしっかり下げると総死亡1.8倍に

…近の脳卒中、心不全、認知症、施設高齢者などは除外されていました。比較的元気な高齢者が対象となっていたのです。その結果を施設高齢者や脆弱な高齢者にあてはめてよいのか、という議論がありました。 ほかにいくつかの観察研究でも、血圧が低いと総死亡が多くなるという報告があります。 そこで、介護施設入居者を対象とした研究が行われることになりました。 血圧をしっかり下げると総死亡が多くなる コホート研究(Benetos, 2015年) *2 研究の概要 介護施設に入居する高齢者のうち、2剤…

患者中心の医療の臨床効果ははっきりしない

…では、急性上気道炎、認知症、糖尿病、潰瘍性大腸炎・クローン病、CABG手術、がん患者などが対象。結果を統合すると、標準化平均差 -0.25(95%信頼区間 -0.36, -0.15)とわずかにPCC群で良好という結果である。 記述的な評価がなされた26研究のうち、12研究(46%)ではPCC群で良好な結果となっていたものの、このうち10研究は前述の量的評価された研究であった。 患者中心のケア(PCC)の定義 このメタ分析では、下記のうちひとつ以上を含むものをPCCと定義されて…

2017年、どの記事が一番読まれましたか?

…域医療日誌 第8位 認知症予防にサアミオンですか? - 地域医療日誌 第7位 フェロベリンは下痢に有効ですか? - 地域医療日誌 第6位 伝染性単核球症+アモキシシリン=発疹? - 地域医療日誌 並べてみると、2016年以前の記事ばかり・・・。古い記事にも案外アクセスいただいていたようですね。 エビデンスは鮮度が命ですから、時々見直しが必要ですね。これからがんばっていきたいと思います。 第5位~第1位 第5位 プロテイン、高齢者にはどうですか? - 地域医療日誌 第4位 まだ…

まだやるんですか?

…テラーゼ阻害薬」は、認知症にあまり大きな効果が期待できなかったことが判明したことは、これまでも取り上げてきました。 cmj.publishers.fm 認知症に対する効果、特に進行抑制効果がはっきりしなかったとき、次にどのような研究が行われたのか。 ひとつの論文をご紹介したいと思います。 効果がないなら増やしてみたら? ランダム化比較試験(Farlow, 2010年) *1 研究の概要 中等度から重度のアルツハイマー病(45-90歳、MMSE 0-20点)にドネペジル 23m…

音楽に害はないですか?

… 以前の記事 音楽で認知症のうつや不安は軽減する - 地域医療日誌 では、認知症に対する音楽の効果を検討したメタ分析を紹介しました。 音楽の治療的介入については定義がされておりますが、いろいろな研究が含まれています。このメタ分析では、おそらく有害事象について触れているでしょう。 まずは概要(再掲)から。 メタ分析(van der Steen, 2017年) *1 研究の概要 あらゆる種類の認知症の人に音楽による治療的介入 *2 を行うと、他の治療または音楽による治療なしに比べ…

スポンサーの意向は研究結果に反映される(助成金バイアス)

…向 助成金バイアス 認知症の話題、もう少しつづきます。 新薬から患者予測急増までのシナリオ アリセプト(ドネペジル)の発売で認知症が多くなったのではないか? 熱狂のあとに / 地域医療ジャーナル (全文閲覧には読者登録が必要) そして、認知症の将来患者予測が過大なのではないか? 認知症は高齢者の15%? - 地域医療日誌 新薬が発売され、病気が増加し、さらに将来予測までも急増する。そんな熱狂のあとには、いろいろな疑念がつきものです。 作られたものではないのか? この疑念を明ら…

認知症は本当に増えているのか?

認知症は高齢者の15%? - 地域医療日誌 につづきます。 フラミンガムから コホート研究(Satizabal, 2016年) *1 年齢調整では認知症は少なくなっていた フラミンガムから 米国の有名なコホート研究 Framingham Heart Study(1948年から調査が開始され、現在も継続中)から、2016年に認知症に関するひとつの興味深い研究が発表されています。 コホート研究(Satizabal, 2016年) *1 研究の概要 フラミンガム研究に参加している6…

幹線道路の近くに住む人は認知症が多かった

交通量と認知症の関係 コホート研究(Chen, 2017年) *1 幹線道路から50m未満で認知症が7%多い 少し前に「幹線道路沿いに居住で認知症リスクが高まる」という記事が掲載されていました。 認知症の発症と自動車の関係を示唆するものでしょうか? 論文を確認してみましょう。 交通量と認知症の関係 コホート研究(Chen, 2017年) *1 研究の概要 カナダのオンタリオに居住し、20-50歳の成人を対象とした多発性硬化症コホートと55-85歳の成人を対象とした認知症・パー…

認知症は高齢者の15%?

認知症は3秒に1人が発症 認知症高齢者は462万人 認知症は15%もいるのか? 過去の疫学調査では4-11% 厚労省の横断調査結果から 厳格に評価すれば認知症は多くなる 認知症は3秒に1人が発症 9月21日は「世界アルツハイマーデー」でした。認知症に関するいろいろな啓発活動が展開されたようです。 朝日新聞の広告特集はこちら。 www.asahi.com 「いま認知症は世界で3秒に1人が発症」というセンセーショナルな見出しになっています。 認知症高齢者は462万人 記事によると…

音楽を聞くことはどんな効果があるのか

認知症に対する音楽療法の効果 音楽を聞くことの効果 ランダム化比較試験(Raglio, 2015年) *1 この研究ではどんな介入が行われたのか 以前、音楽療法に関する医学論文を紹介したことがあります。このような論文の多くは、音楽療法士などが提供する、専門的治療としての音楽療法となっています。 しかし、音楽療法士による音楽療法を受けることは、現時点ではあまり簡単ではありません。 例えば、病院で受けようとしたとしても、簡単ではないでしょう。サービスへのアクセスしやすさという観点…

音楽で認知症のうつや不安は軽減する

…ごちゃまぜバイアス 認知症に対する音楽療法の効果については、以前ご紹介しました。 www.bycomet.tokyo この記事で紹介したメタ分析のほかにもいくつかメタ分析が発表されており、採用される論文によっては効果がみられたとする報告もあるようです。 ひとえに音楽療法といっても、いろいろな治療が混在したものが検討されていることもあります。さらに、個々の研究の質が低いため、集積しても異質性が高くなり結論が出にくいという、いわゆる「ごちゃまぜバイアス」 *1 のためでしょう。 …

次の10年へ向けて、何ができるのか?

…このプロジェクトは、認知症施設やホスピスに入所しているみなさんに最後に聞きたい歌を届けることで、豊かな時を過ごしてもらおうというもの。 www.youtube.com これまで医療と癒し、医療と音楽の連携を追いかけてきました。 医療✕音楽 カテゴリーの記事一覧 - 地域医療日誌 その延長線上にある活動の一環として、高齢者へ音楽を届けようというプロジェクトへの参画・支援を決定しました。 活動の展開や音楽の効果について、今後もブログの話題になっていくことでしょう。 どちらも、ツイ…

元論文をたどってみよう

…幹線道路沿いに居住で認知症リスク 出典を明示せよ 医療情報の信頼性をはかるチェックリストについて、以前ご紹介したことがありますが、確認しておきましょう。 具体的な研究の結果であることが出典とともに示されているか? その研究はヒトを対象にしたものか? その研究は学術誌(ピアレビュー誌)に原著論文として掲載されているか? 売りたいものにはウラがある―信頼性のない情報を見分ける3つの方法 - 地域医療日誌 このチェックリストのうち、「1. 具体的な研究の結果であることが出典とともに…

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