地域医療日誌

新しい医療のカタチ、考えます

4. 医療の負の側面に関すること

ワーファリンを続けるのか、やめるのか

質問 静脈血栓塞栓症の再発予防でワーファリンをずっと内服していますが、高齢でも必要でしょうか? 静脈血栓塞栓症の予防 QThronbosis HAS-BLED 予防という理由で、漫然と続けられてしまう薬は多いものです。やめ時のタイミングの取り方や切り出し方が難し…

既存の情報とエビデンスのギャップを明らかにする

情報検索の前段階 既存の情報とのギャップを明らかにする ギャップを薬の情報で考えるとわかりやすい 情報検索の前段階 なぜ、エビデンス(ここでは、医学論文に基づく科学的知見のこと)は大衆に普及しにくいのか、について少し考えてみました。 まあ、情報…

伝染性単核球症+アモキシシリン=発疹?

質問 伝染性単核球症に対してアモキシシリンを投与すると、必ず発疹が出ますか? アンピシリン疹 後ろ向き観察研究(Chovel-Sella, 2013年) *2 アモキシシリンで3割 これからどうするか? アンピシリン疹 今回は、Epstein-Barrウイルス(EBウイルス)など…

まだ施設入居時にMRSA保菌検査しているの?

MRSA保菌者の特別扱いは不要 最近の研究から 横断研究(Mody, 2008年) *3 鼻腔培養では保菌者も見逃している 施設内での特別なMRSA対策には意味がないですか? メタ分析(Hughes, 2013年) *5 クラスターランダム化比較試験(Balswin, 2010年) *6 MRSA除菌…

まだ薬の説明会に参加しているの?

今回は本の紹介です。 もしかするとこのブログの読者のみなさんは、すでに入手されたり、読破された方もおられるかと思います。重版となったようですが、遅ればせながらご紹介いたします。 薬のデギュスタシオン 製薬メーカーに頼らずに薬を勉強するために …

不適切な投薬は不適切だ?

薬が多くなると総死亡が多い - 地域医療日誌につづきます。ポリファーマシー、シリーズ最終回の予定です。 ポリファーマシーはなくすべき? システマティック・レビュー(Patterson, 2014年) *1 介入しても入院は少なくならず ここまでで、薬の数が多くなる…

薬が多くなると総死亡が多い

「薬漬け」問題について考える - 地域医療日誌 につづきます。 高齢者の約3割が5剤以上 5剤以上で総死亡が多い システマティック・レビュー(Fried, 2014年) *1 今回はポリファーマシー問題のなかで、「薬の数が多い」という点についてみていきたいと思…

「薬漬け」問題について考える

ポリファーマシーとは何か メタ分析(Patterson, 2014年)*2 メタ分析(Christensen, 2013年) *3 システマティック・レビュー(Fried, 2014年) *4 ポリファーマシーの定義 ジェネラリスト教育コンソーシアム(2012年) 治療(2014年) 地域医療の見え方 ポ…

やはりワクチンで自閉症は起きていなかった

ワクチンと自閉症の噂 自閉症(自閉症スペクトラム、ASD)の発症にワクチン、特に麻疹・おたふく・風疹(MMR、国内未承認)ワクチンが関与しているのではないか、という噂が古くから広まっていました。 しかし、科学的には立証されておらず、今のところ学術…

心臓病の予測は大げさだった

最近の論文から。 将来、心臓病など(動脈硬化性心血管疾患)にどれくらいかかりやすいかを予測し、治療や啓発に役立てるためのスコアは、いくつも発表されています。 実際の観察研究の結果から、この予測スコアの精度はどうだったかを検証したひとつの研究…

薬で交通事故を起こしやすくなりますか?

薬は認知症の原因になりますか? - 地域医療日誌のつづき記事です。 当初はここまでつづけるつもりもなかったのですが、芋づる式に論文が見つかり、また反響もあるようなので、もう少し書いてみます。 ベンゾジアゼピン系(BZD)は認知症のほかに事故が気に…

薬は認知症の原因になりますか?

手紙で13人に1人が薬をやめられる? - 地域医療日誌のつづき記事です。 ベンゾジアゼピン系(BZD)と呼ばれる薬は、睡眠薬として使用されるほかに不安障害、アルコール離脱症状、うつ病や統合失調症の補助療法などでも用いられる薬です。このBZDは依存性があ…

手紙で13人に1人が薬をやめられる?

睡眠薬は体によくないですよね? - 地域医療日誌 につづきます。 睡眠薬は体によくない、とわかっていても、なかなかやめられないことがあるようです。 ベンゾジアゼピン系(BZD)と呼ばれる薬は、睡眠薬として使用されるほかに不安障害、アルコール離脱症状…

残薬はどのくらいあるのか?

節薬バッグ 残薬はどのくらいあるのか? 処方されても使われなかった薬、いわゆる残薬は、国内でどれくらいあるのでしょうか。 日数通り処方していても、薬がかなり余っているとのことで、調整することはしばしばあります。本人から申告してもらえればわかる…

かぜ薬、5年間で死者12人

2012年の情報ですが、季節がらかツイッターで反響が大きかったので記事にしておきます。 “総合感冒薬の12例、解熱鎮痛消炎薬の4例、漢方製剤の2例で死亡が報告。”これは問題に鳴らないのか? / “【健百】市販薬による副作用、5年で1,220件―風邪薬がトップ | …

帯状疱疹には抗ウイルス薬は必要ですか?

帯状疱疹の痛みは自然に治りますか? つづき記事です。 神経痛は少なくならず、副作用がある メタ分析(Chen, 2014年)*1 帯状疱疹には抗ウイルス薬は必要ですか? 前回、帯状疱疹の痛みはほとんどが自然に治癒する、というコホート研究を紹介しました。 そ…

帯状疱疹の痛みは自然に治りますか?

早く治療をはじめたほうがよい? コホート研究(Helgason, 2000年)*2 ほとんど痛みは自然に消える 早く治療をはじめたほうがよい? 帯状疱疹については、いくつか誤解がありそうです。 製薬会社情報のため注意が必要ですが、参考までにこちらを。 帯状疱疹 …

抗不安薬や睡眠薬で早死しますか?

総死亡が3倍多い 後向きコホート研究(2014年) GPRD 最近のBMJ誌に掲載された論文をご紹介します。ベンゾジアゼピン系やZ薬などの抗不安薬・睡眠薬の弊害(有害事象)についての報告です。 引用する文献の導入部分には、このように書かれています。 Eviden…

吸入ステロイドで身長が低くなりますか?

タイムリーな新聞記事 日本小児アレルギー学会の重要なお知らせ 2つの報告 年間1.5cm低くなる? メタ分析(2000年) 問題の契機となった2つの報告 コホート研究(CAMP, 2012年) コホート研究(PEAK, 2011年) 長期の影響ははっきりしない 身長か入院か? …

社会問題化すれば規制する?

塩野義製薬の抗インフルエンザ薬のテレビCMが酷い、と話題になったのは最近のこと。まだ記憶に新しいところです。 今にも落ちて来そうな空の下で : 年末から医療従事者の間でひどいと話題になっていた塩野義製薬の抗インフルエンザ薬のCMについて 薬事法第六…

まだ体質は変わっていないのですか?

金銭と捏造ふたたび 横浜市立大学の事件 Wikipedia 最終報告書(2008年7月) 懲戒処分されたのに名誉教授? 東京大学医科学研究所の事件 第三者委員会報告書(2008年9月) 懲戒処分後に科研費獲得? 体質は変わっていないのですか? 金銭と捏造ふたたび ブ…

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