地域医療日誌

変化しつづける地域でともに悩み、考える医療

11年後のエビデンス

 

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11年の変化

 このブログは今月で11年。「ブログの時代は終わった」とささやかれながらも、そして拙いテキストながらも、気ままに発信をつづけてきました。

 あらためまして、読者のみなさま、いつもありがとうございます。

最初の記事は2007年のかぜの論文 

 記念すべき最初の投稿 *1 は、かぜの治療に関する論文についてでした。

効果が証明されたかぜ薬 - 地域医療日誌 by COMET

 

 かぜの患者がペラルゴニウム シドイデス *2 を服用すると、プラセボに比べて症状が早く改善する、という2007年のランダム化比較試験でした。

連載「かぜの研究」 

 かぜの診療は日常的に多いため、関心があるわけですが、まさか10年後にウェブマガジンにかぜの研究で連載することになるとは、思っていなかったでしょう。こちらはもうすぐ40回になります。

cmj.publishers.fm

 いまだに、かぜの薬はなかなか効かない、ということがわかっているわけです。

 

シドイデスのその後

 さて、このかぜに対するペラルゴニウム シドイデス、その後は2013年にシステマティックレビューが発表されています。

 この情報は、2014年に追跡記事にしていますので、詳細はこちらをどうぞ。

www.bycomet.tokyo

システマティックレビュー(Timmer, 2013年) *3

AUTHORS' CONCLUSIONS: P. sidoides may be effective in alleviating symptoms of acute rhinosinusitis and the common cold in adults, but doubt exists.

 

 8研究の結果を集めていますが、かぜ患者に対する研究は前述した2007年の1研究のみで、ほかには研究がなさそうです。

 研究の質には疑いありとのことですが、どのような点が疑われていたのでしょうか?

Missing data supplied by investigator (2009 version, low dose only). High dose results not published (requested for 2013 version)

Results for low dose only reported, some additionaloutcome information provided as requested

 

 高用量の研究結果が報告されていないと。著者に照会までされたようです。確かにこれは報告バイアスがありそうです。

 さらに、2018年にメタ分析が発表されていました。

メタ分析(Careddu, 2018年) *4

RESULTS: Eight RCTs investigating the application of EPs 7630 in acute bronchitis, acute tonsil-lopharyngitis, and aRTI in the context of chronic preconditions were identified. Results showed a statistically significant improvement of aRTI symptom severity for EPs 7630 as compared to controls.

In immunocompromised children with acute upper RTI, an alleviating effect of EPs 7630 was shown. All RCTs reviewed reported good safety and tolerability of EPs 7630.

 

 8研究が採択されていますが、2007年の研究は除外されていました。急性上気道炎については小児の2研究が選ばれており、いずれも症状改善がみられたという結果です。

 やはり期待できるのでしょうか?

 論文の詳細は 地域医療ジャーナル 2019年1月号 連載「かぜの研究」で取り上げたいと思います。

 

変わりゆくエビデンス

 11年でエビデンスも変わっていくものです。

 効果がなかったはずの治療が有効になったり(なんてことはまれですが)、効果があったはずの治療が無効や有害になったり。

 情報もしっかり更新されていくべき。関心のあるテーマは追跡していきたいと思います。

 これからもどうぞよろしくお願いします。

 

*1:旧ブログ「地域医療日誌 by COMET」の記事です。

*2:フウロソウ科ペラルゴニウム属

*3:Timmer A, Günther J, Motschall E, Rücker G, Antes G, Kern WV. Pelargonium sidoides extract for treating acute respiratory tract infections. Cochrane Database Syst Rev. 2013 Oct 22;(10):CD006323. doi: 10.1002/14651858.CD006323.pub3. Review. PubMed PMID: 24146345.

*4:Careddu D, Pettenazzo A. Pelargonium sidoides extract EPs 7630: a review of its clinical efficacy and safety for treating acute respiratory tract infections in children. Int J Gen Med. 2018 Mar 8;11:91-98. doi: 10.2147/IJGM.S154198. eCollection 2018. Review. PubMed PMID: 29563828; PubMed Central PMCID: PMC5849386.

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