地域医療日誌

変化しつづける地域でともに悩み、考える医療

新薬が安易に使われていないか?

 

質問

 この冬のゾフルーザブームについて考察をお願いします。 昨年夏の間に公表された臨床試験で、①既存薬と効果は変わらず、②値段は既存薬後発品の3倍、③耐性が高率で出る、④耐性が出た症例についてはプラセボより治療が遅れる ⑤安全性への懸念が大きい(最初の3.7万人の使用で死者2人)ということがわかっていた薬が、800万人に処方されてしまったという現実は深刻だと思います。内服1回ですむ新しい薬という製薬企業の宣伝のほうが、すべての科学的エビデンスを乗り越えてどんどん投与される日本の地域医療は、ほんとうに危機ではないでしょうか?

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ブログへのご質問から

 ブログにご質問いただき、ありがとうございます。

 新薬が発売されてはブームのように処方され、しばらくたってから「想定されていたような効果がなかった」あるいは「想定以上の有害事象がみられた」といった報告がなされる、というパターンは、あえて具体的な薬剤名を指摘するまでもないほど、ありふれたできごとになっています。

 バロキサビル マルボキシル(以下BM、商品名 ゾフルーザ)もそのような薬のひとつではないか、というご指摘でしょう。たしかに新薬にも関わらず、昨シーズンにはすでにかなり処方されたようです。

 このような医療の現状を憂慮する気持ちには、同意いたします。

 効果や安全性の検証には時間がかかることを考慮の上、新薬の使用には慎重を期するようにしたいと思います。

 

#エビダス編集チームの回答 

 ところで、BMの効果は一体どうなのか。エビデンスを確認しておきたいと思います。

 せっかくなので、地域医療編集室の「#エビダス 編集チーム」にお願いしてみました。この回答は現在、こちらの note に公開中です。

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回答(まとめ)  

 インフルエンザを発症した12歳以上の患者がバロキサビル マルボキシル(ゾフルーザ)を1回服用すると、プラセボに比べて症状緩和までの時間が約1日程度早くなります。この効果はオセルタミビル(タミフル)とほぼ同等ですが、ウイルスの変異体出現によって効果が低減する可能性が示唆されています。有害事象については他剤に比べてほぼ同等かやや少ない傾向で、安全性上の新たな懸念はみられませんでした。

 

 #エビダス レポートはこれまで地域医療ジャーナルへ掲載してきました。今回初めてnoteへ掲載してみましたが、まだほとんど認知されていないようです。

 回答(解説)部分が有料となっております。

 BMの第III相臨床試験(CAPSTONE-2)の結果は2018年10月に学会発表されましたが、論文発表はまだ。BMのインフルエンザ発症抑制効果の検証を目的とした第III相臨床試験(BLOCKSTONE)の結果概要は最近プレスリリースされたばかりです。

 今後、noteは情報更新していきたいと思います。地域医療ジャーナルにも掲載しようかなと思います。

 

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