質問
認知症には、やっぱりイチョウですよね?
認知症にはなりたくない
「イチョウ 認知症」で検索してみると、大手企業も参入して、「イチョウ葉エキス」などの名称で、たくさんの商品が売られていることがわかります。
みんな、認知症にはなりたくないんですよね。
いい予防法がないだろうか、ということが、日々話題になっていることでしょう。
そこで、今期待のイチョウ抽出物の効果はどうなのか、ひとつのメタ分析をみておきましょう。(EGb761とはイチョウ抽出物のことです。)
メタ分析(Tan, 2015年) *1
研究の概要
認知症や認知障害のある人が、イチョウ抽出物(EGb761)を毎日服用すると、プラセボに比べて認知機能が改善するか、を検討したランダム化比較試験のメタ分析。
認知機能はAlzheimer's Disease Assessment Scale Cognitive Subscale (ADAS-Cog、70点満点)で評価し、投与前と投与22–26週後の改善度を両群間で比較。
主な結果
9のランダム化比較試験を統合(2,561人)。ADAS-Cogは -2.86(95%信頼区間-3.18, -2.54)とEGb761群で改善度が大きかった。ADL、全般的改善度についても同様に、EGb761群で改善度が大きかった。この傾向はEGb761 240 mg/日群で顕著に認められた。
有害事象にはプラセボ群と有意差がなかった。
3点差?
イチョウ抽出物を22-26週摂取すると、70点満点の認知機能スコアで2.86点の差、という結果でした。
これを大きいととるか、差がないととるか、難しいところでしょう。
ぼくは、想定外に大きな差が出たなあ、という印象でした。
なぜなら、認知症治療薬コリンエステラーゼ阻害薬の他の研究と比較すれば、おわかりいただけるはずです。
こちらをご参照ください。(有料記事です。)
コリンエステラーゼ阻害薬を使っても、プラセボに比べて認知機能尺度では70点満点中たった3~4点差、という結果にすぎません。
直接比較ではないので、あくまでも参考ということになりますが、薬でさえこの程度ですから、サプリメントにしては大健闘、といったところではないでしょうか。
安全性の検討など、慎重に判断する必要があるでしょうが、選択肢のひとつとしてはアリではないか、と思えてきます。
まあ、それでもたいして効果が期待できないことには、かわりないようです。まだ過大な期待はできない段階でしょう。
*1:Tan MS, Yu JT, Tan CC, Wang HF, Meng XF, Wang C, Jiang T, Zhu XC, Tan L. Efficacy and adverse effects of ginkgo biloba for cognitive impairment and dementia: a systematic review and meta-analysis. J Alzheimers Dis. 2015;43(2):589-603. doi: 10.3233/JAD-140837. Review. PubMed PMID: 25114079.