地域医療日誌

新しい医療のカタチ、考えます

認識の谷間に灯をともす

f:id:cometlog:20160810011423j:plain

 

 ブログを開設して8年。これまでをふりかえりながら、地域医療日誌のあゆみ - 地域医療日誌 by COMET を書いてみて、考えたことを少し書き留めておきたいと思います。

 

伝えたいこと? 

 開設当時、ブログを通して発信したかったことは、一体何だったのでしょうか?

 あまりよく思い出せないのですが、何かを伝えたいというよりも、誰にも読まれなくてもいいから書き残しておきたい、という気分だったように思います。

 

 それからというもの、ぼくの仕事の環境は様変わりし、心境も当時のものからは大きく変化しています。ブログで伝えようと思っていることも、微妙に変化してきているように思います。

 

 最近、感じていることといえば、こんなところでしょうか。

  • 医療の効果を調べてみると、案外がっかりする。
  • それをまとめてわかりやすく紹介することは、簡単ではない。
  • ここに書けないこと(個人情報など)はたくさんあってもどかしい。
  • そもそも簡単にわかりやすくすることに、どんな意味があるのか?
  • コトバにできないことに価値があるが、そこには迫れていない。

 

楽しさを伝える

 わかりやすはいいことか、については、以前考えていた時期がありますが、また同じような壁に突き当たってしまったようです。

 たぶん、「わかりやすく伝える」ことの中には、「その素晴らしさを伝えたい」という気持ちが含まれている気がする。

 

 楽しさ、おもしろさを、伝えようとすること。なるほど、少し肩の力が抜けたような気がします。

わかりやすいことはよいことか? - 地域医療日誌 by COMET

 

 なるほど。わかりやすく伝えようとするのではなく、楽しさを伝えようとすることですね。

 

 偶然、最近読んだブログのストックにも同じことが。

正しさを追い求めると重くなる。楽しさを追い求めると軽くなる。

ひとの心を動かすものは「正しさ」よりも「楽しさ」だ。 - いばや通信

 

 正しい情報やノウハウを伝えよう、と肩に力が入ると、途端に行き詰まるようです。なんとか、気楽にやっていきたいものです。

 

わかりやすさの限界は中学で学んでいた  

 30年ぶりに、中学生のときに読んだ思い出の小説、ヘルマン・ヘッセの シッダールタ (新潮文庫) を手にしました。

 内容はほとんど覚えていなかったのですが、長文の感想文を書いて国語の授業を一時間つぶしてしまった記憶だけが残っています。(先生その節はすみませんでした。)おそらく当時は、本を熟読していたはずです。記憶ってそんなものですよね。

 

 ここにも同じような場面が出てきました。

 コトバにして伝えられることは、ごく一部にすぎません。まだコトバになっていないところに、おもしろさがあるのでしょう。

 

 こうしてまた、わかりやすく書こうとする努力は、いったん先送りになりました。これからも、わかりにくいことを、わかりにくく、楽しく書いていきたいと思います。

 そして、なんとかコトバにできないことに、迫っていきたい。心境としては、「認識の谷間に灯をともす」といったところでしょうか。

 これからも、どうぞよろしくお願いします。

 Copyright © 2003, 2007-2021 地域医療ジャーナル