地域医療日誌

新しい医療のカタチ、考えます

過渡期を生きる医療者として

 

 本の紹介です。

 注目の一冊、著者より献本御礼。8月7日発売の新刊です。

「健康第一」は間違っている (筑摩選書)

「健康第一」は間違っている (筑摩選書)

 

 

文脈は選択肢を奪う

 

 医療者も患者も、無意識のうちに「健康が一番である」「元気で長生きがいい」という文脈にどっぷりと浸かってしまっています。しかし、そのことによって、失われているものがたくさんあるかもしれません。

 

 健康にしたい、なりたい、という欲望を抑えられない医療者や患者。この強固な呪縛から逃れるには、どうしたらよいでしょうか。

 

 文脈を捨てること、文脈から自由になること。これは、なかなか難しい課題です。

 

死ぬからこそある医療へ

 

 近年の医療は「死なないための医療」「死ぬからこそある医療」がせめぎ合う、苦しい現状にあるように思えます。

 

 しかし、これは過渡期の姿でしょう。

 

 医療者も患者も家族も苦しむ「死なないための医療」の追求から、少し肩の力が抜けた「死ぬからこそある医療」を選択肢のひとつとして示すことができれば、幸せな人生を過ごせるようになる人が多くなるかもしれません。

 

 目指していく医療の方向性が、具体的な姿として見えたような気がします。過渡期の時代を生きる医療者として、これからも考えつづけていきたいと思います。

 

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