最近、よく感じることを書いてみます。根拠のない個人的見解です。
エビデンスは役に立つのか
エビデンス(質の高い臨床研究を中心とした医療情報、科学的根拠)を紹介しても、どれだけ読者のみなさんの役に立っているのか、正直よくわかりません。
ぼくの日々の診療には、たいへん役立っていると思います。時々自分のブログを検索して、記憶をたどることもあります。調べて終わらない、まとめておこう、という動機は、ぼく自身が備忘録として情報を使うためですし。
しかし、読者のみなさんにとっては、どうでしょうか。
エビデンスはメリットを実感しにくい
エビデンスには、目の前の患者さんに役立っているか確認できない、という特徴があります。
どちらの薬にメリットがあるかなんて、臨床研究の結果に基づいて選択したところで、治療すると必ず治り、治療しないと絶対治らない(つまり、治療必要数=1)ということはほとんどないですから、そもそも効果は実感しにくいのです。
エビデンスとはそういうものだから仕方ないのですが、それがEBM(エビデンスに基づく医療)の実践を妨げてきたのかもしれません。
正確な情報は必要なかった
そもそも、誰も正確な情報は求めていなかったのでは、と感じることもあります。
これだけ情報が洪水のように氾濫していれば、ネット検索で調べてわかることもありますし、そんなに関心のあることでもなければ、それで済ましてしまうこともあるでしょう。
もちろん調べてもまちがいがあるし、それを承知で調べている、というか。
正しさ情報の真偽、というか、情報の正確さ、というか、正しさを確かめることなんて難しいし、まちがった情報でも判断できることもあるんでしょう。
専門家の正確な情報に対するニーズは、どんどん低下しています。
専門家がGoogle検索する時代
かたや、医療界ではEBMがあたりまえ、と言われるようになった時代。
といっても、EBMを実践している人に出会うことは本当に少なくて、実践にどれだけの意味があるのかさえも、定かではない。
Google検索で気軽に検索して、みんながあいまいな情報で判断する。その傾向はこれからも強まっていくことでしょう。
それもひとつの解決策。それでもいいのかもしれません。
人力からロボット検索へ
人力で情報を集める時代も、もうすぐ終わるはずです。
きっと、「情報の正確さ」では専門家よりも検索ロボットのほうが上をいくことになるでしょう。
質の高い情報を集めて批判的吟味し、まとめて執筆することで学ぶこともあります。しかし、もうそこに多くの時間を割く時代じゃない。
効率よく情報を集めることはEBMの基本ですから、情報検索は「ロボット」にまかせたいんです。
どなたか、開発を!
情報検索のない医療へ
そして、情報検索から解放されたら、もっと大切なことを取り扱える医療に挑みたい。新しい時代の医療を模索したい。
もう、隔てる壁はなくなるはずです。
さあ、次のステップへ進みましょう。