2007年のランダム化比較試験から
2007年のランダム化比較試験(Lizogub, 2007年)*1*2 に関する記事 効果が証明されたかぜ薬 - 地域医療日誌 by COMET から7年。
あれからこのエビデンスはどうなっているでしょうか。
ペラルゴニウム シドイデスとは、こちらの植物です。

この根の抽出物がかぜ薬として使われています。海外では「ウンカロアボ」(ドイツ、市販薬)、「ウムカミン」(韓国、処方薬)など、かぜ薬として市販されている国もあります。
さて、このランダム化比較試験では、ペラルゴニウム シドイデス投与群で、5日目の症状改善度が有意に大きい、という結果になっていました。
2013年にメタ分析が発表
今回新たに検索したところ、2013年にコクランレビューが出ていました。
メタ分析(Timmer, 2013年) *3
- P▶ 急性気道感染症の成人または小児に
- E▶ ペラルゴニウム シドイデスを投与すると
- C▶ プラセボに比べて
- O▶ 症状残存率が少ないか
- T▶ 治療、メタ分析
《結果》※※※
成人:急性気管支炎(発症7日後の症状残存)
液剤(2研究) 対照群 953/1000人、介入群 629/1000人、相対危険 0.66(95%信頼区間 0.52~0.83)
錠剤(1研究) 対照群 990/1000人、介入群 941/1000人、相対危険 0.95(95%信頼区間 0.91~0.99)
成人:急性副鼻腔炎(発症21日後の症状残存)
1研究 対照群 904/1000人、介入群 389/1000人、相対危険 0.43(95%信頼区間 0.30~0.62)
成人:かぜ(発症5日後の症状残存)
1研究 対照群 1000/1000人、介入群 960/1000人、相対危険 0.96(95%信頼区間 0.90~1.03)
かぜについては、発症10日後の症状残存では差がみられているものがあります。
しかし、これらのほとんどの研究がマスキングについて明確な記載がないなど、質の低い研究ばかりとのこと。症状改善する可能性はあるが疑義が残る、といった結論になっています。
質の高い研究での検証が待たれるところです。
ペラルゴニウム シドイデスはかぜに効果がある?
- 2013年のメタ分析では質の高い研究が少なく、今後の検証が待たれる。
- かぜに関する研究では、あまり大きな効果は認められていなかった。
- 気管支炎、副鼻腔炎については効果があるかもしれない。
*1:Lizogub VG, Riley DS, Heger M. Efficacy of a pelargonium sidoides preparation in patients with the common cold: a randomized, double blind, placebo-controlled clinical trial. Explore (NY). 2007 Nov-Dec;3(6):573-84.PubMed PMID: 18005909
*2:CMEC-TV/ 生薬はかぜに効果があるのでしょうか?
*3:Timmer A, Günther J, Motschall E, Rücker G, Antes G, Kern WV. Pelargonium sidoides extract for treating acute respiratory tract infections. Cochrane Database Syst Rev. 2013 Oct 22;10:CD006323. doi: 10.1002/14651858.CD006323.pub3. Review. PubMed PMID: 24146345.