地域医療日誌

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高齢女性でも半年に1回の注射でいいですか?

骨粗鬆症の治療は半年に1回の注射でいいですか? - 地域医療日誌 つづきです。

 

日本人女性の研究では?

 骨粗鬆症の日本人に対して、デノスマブ60mg皮下注射の効果を検討したランダム化比較試験(DIRECT試験)がありますので、論文を確認しておきましょう。

ランダム化比較試験(Nakamura, 2014年) *1

研究の概要

 骨粗鬆症の日本人(閉経後の女性または男性)が、デノスマブ60mg皮下注射を6ヶ月に1回受けると、プラセボ注射(またはアレンドロネート35mgの週1回服用=オープン試験)に比べて、24か月後の新たな椎体骨折は少ないかを検討した、二重盲検ランダム化比較試験。

 対象者全員が600mgのカルシウムと400IUのビタミンDを服用。

 

主な結果

 1,262人のうち、デノスマブ群500人(解析472人、平均69.9歳、女性95%)、プラセボ群511人(解析480人、平均69.0歳、女性95%)、アレンドロネート群251人に割付。

 24か月投与後の新たな椎体骨折はデノスマブ群では3.6%、プラセボ群では10.3%。ハザード比 0.343(95%信頼区間 0.194, 0.606)とデノスマブ群で66%少ない。

 有害事象については有意差がなかった。

 

2年で66%椎体骨折が少ない

 対象者はほとんどが高齢女性となっていました。前立腺がん患者と同様、椎体骨折が約6割少ないという結果となっております。

 すでに椎体骨折の既往がある人については、選択肢のひとつとなりうるかもしれません。

 

つづく 

骨粗鬆症は内服より注射のほうがよいですか? - 地域医療日誌

*1:Nakamura T, Matsumoto T, Sugimoto T, Hosoi T, Miki T, Gorai I, Yoshikawa H, Tanaka Y, Tanaka S, Sone T, Nakano T, Ito M, Matsui S, Yoneda T, Takami H, Watanabe K, Osakabe T, Shiraki M, Fukunaga M. Clinical Trials Express: fracture risk reduction with denosumab in Japanese postmenopausal women and men with osteoporosis: denosumab fracture intervention randomized placebo controlled trial (DIRECT). J Clin Endocrinol Metab. 2014 Jul;99(7):2599-607. doi: 10.1210/jc.2013-4175. Epub 2014 Mar 19. PubMed PMID: 24646104; PubMed Central PMCID: PMC4191553.

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