地域医療日誌

新しい医療のカタチ、考えます

EBMの5つのステップ

質問

 EBMって何ですか?

 

EBMの基本について書いてみる

 今日は、何を今さら、というお話です。ブログを11年もやってきて、最近になって気づいたのですが。

 EBM(Evidence-based medicine、科学的根拠に基づく医療)の実践を伝えるブログであるにも関わらず、EBM実践の基本「EBMの5つのステップ」について、これまでほとんど書いたことがありませんでした。

 

 ぼくのブログ読者の多くは、EBMの基本を理解されている、あるいはEBMをすでに実践されている、という方々が多いのではないでしょうか。

 すでにEBMの基本は理解されていることが前提で、実践に役立つ医学論文を紹介してきたことになります。でも、そうではない人にとっては、ちょっと全体像が理解されにくかったかもしれません。

 

 さらに、EBMの基本を説明したブログは、多数発信されるようになりました。これも時代の流れですね。

 何もわざわざぼくが書かなくても、と思いながら、こんなに時間が経過してしまいました。

 

 まあ、気を取り直して、ここでEBM実践の手順や基本的流れについて、触れておきたいと思います。

 

EBMは手法にすぎない

 EBMとは医療の手法のひとつであり、手順が明確に定められています。「EBMの5つのステップ」とは、その手順を簡単に示したガイド、ということになるでしょうか。その手順で実践することが、EBMの基本中の基本、ということになります。

 

 この手法の詳細は教科書といわれる書籍をご参照ください。

Evidence-Based Medicine: How to Practice and Teach It, 4e

Evidence-Based Medicine: How to Practice and Teach It, 4e

  • 作者: Sharon E. Straus MD,Paul Glasziou MRCGP FRACGP PhD,W. Scott Richardson MD,R. Brian Haynes MD
  • 出版社/メーカー: Churchill Livingstone
  • 発売日: 2010/12/17
  • メディア: ペーパーバック
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 今年、改定5版が出版されています。

Evidence-Based Medicine: How to Practice and Teach EBM, 5e

Evidence-Based Medicine: How to Practice and Teach EBM, 5e

  • 作者: Sharon E. Straus MD,Paul Glasziou MRCGP FRACGP PhD,W. Scott Richardson MD,R. Brian Haynes MD
  • 出版社/メーカー: Elsevier
  • 発売日: 2018/05/07
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 日本語ではこちら。

ステップアップEBM実践ワークブック―10級から始めて師範代をめざす

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EBMの5つのステップ

 そろそろ本題に。5つのステップはこちらです。

  1. 問題の定式化
  2. 問題についての情報収集
  3. 得られた情報の批判的吟味
  4. 情報の患者への適用
  5. 1.から4. のステップの評価

 

 個別の患者に関する「臨床上の問題」から出発することが基本です。

 つまり、ただ単なる調べものや、興味本位で調べることではなく、あくまでも個別の患者の問題からはじめることです。

 そして、得られた情報はその個別の患者へ返すことが基本となります。

 EBMとは個別の患者に対する問題解決方法である、という意味はここにあります。臨床研究の論文を読むことでも、ランダム化比較試験の結果やガイドラインを使うことでもありません。

 

 5つのステップには、さらにそれぞれ手順が定められています。そのうちご紹介していきたいと思います。(くわしくは教科書をご参照ください。)

 一連のステップを手順通りにやりつづけることで、情報収集や情報の批判的吟味が上達していくことでしょう。

 

 ということで、EBMとは、個別の患者の臨床上の問題を解決するための問題解決手法です。これからも、EBMの実践をここでご紹介していきたいと思います。

 

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