地域医療日誌

新しい医療のカタチ、考えます

超高齢社会と総合診療

GはGeneral Practice 

 

 本の紹介です。出版社より献本御礼。

 総合診療に特化した雑誌(隔月刊)が創刊となりました。

 

 日本プライマリ・ケア連合学会理事長丸山泉さんの「推薦のことば」に始まり、編集ボードをはじめ、総合診療の時代をリードする錚々たる執筆者のラインナップを拝見し、これからの楽しみがひとつ増えたような気分です。家庭医療専門医を目指す方には、必読書となるでしょう。

 

 最初の特集は高血圧診療。ゆっくり勉強したいと思います。

 

首都圏の医師不足が深刻に

 

 注目記事は、高林克日己さんの「超高齢社会の到来と医療のパラダイムシフト―総合診療医活躍の時代―」。都市部に医療供給体制の不足が起こると予想されています。

高齢化率はまだ低くてもすでにその絶対数は都市部の方が多く、さらに今後20年間に爆発的な増加をきたします。特に首都圏において顕著であり、今後の首都圏一県の増加数が地方の数県分の現在のすべての高齢者人口を上回るほどです(図3)。

 

 県別高齢者増加数のグラフは衝撃的です。2025年までに東京都で増加する高齢者数は、数県分の高齢者数以上になっています。増加分だけで、です。

 

 どのような医療体制になるのか、ぞっとします。

さらに受診患者数の増加、特に入院患者の増加は病床数不足を招きます。図5は必要病床数に対する過不足を示したものですが、東京を中心にほぼ一都三県の50km圏内では車で1時間以内に入院できる病床が大幅に不足する計算になります。同様に今以上の医師不足、看護師不足が起こります。

 

 図5を見ると首都圏中心部はほぼ真っ赤。極端な需要超過が起こります。

 この時代をどう乗り切っていくのか。総合診療の力が試されるのは、間違いなく首都圏になるでしょう。

 

 こちらもご覧ください。

65歳以上が関東では436万人増加 - 地域医療日誌

 

 Copyright © 2003, 2007-2021 地域医療ジャーナル