医療費の高騰をどうするのか
週刊誌や新聞やテレビもそうですが、いいかげんな情報を垂れ流していることが目につきます。
いちいち反論している余裕もありませんが、これは解釈がまちがっているなあ、情報収集が甘いなあ、などと思いながらも失笑してスルーしているわけですが、時々頭にくるような間違いもあります。
まあどこの記事のどの部分に対して書いているかということは伏せておくことにして、というよりも、おそらくひとつの記事がおかしいということではなく、誤った共通認識が形成されつつありそうなので、あらためてここでひとこと書いておきます。
医療費の高騰についてです。
安かろう、悪かろうとは限らない
一般的に医療費を削減しようとすると、医療者側から「安かろう、悪かろう」の医療では困る、という反論がしばしばなされます。
これが専門家の中でも、特に権威ある専門家からなされるためにたちが悪いのです。
もちろん、費用がかかってもそれ相当の効果を挙げている新しい治療というものはあります。いい治療だから、費用をどうするのか、という検討ならまだわかります。
ところが、もし「安かろう、良かろう」の医療があったとしたら、どうでしょうか。
例えば、臨床効果は同じ、副作用が少ない、薬価は10分の1以下。
そんな夢のような薬があまり使われていないとしたら、どうでしょうか。
もったいないですよね。
そんな薬はあるのかって? あるから問題なのです。
参考薬価
- アジルバ 20mg 139.80
- オルメテック 20mg 112.80
- ブロプレス 4mg 65.0
- ナトリックス 1mg 11.40
これはごく一例に過ぎませんが、アジルバもオルメテックもよく処方されています。高価で新しい薬はよく売れる、というわけです。
古くから効果が証明されていて、安価な薬がなぜ使われないのでしょうか?
ぼくは、おそらくこれまでの医療の構造上の問題に根ざしているのではないかと思っています。
「医学の勝利が国家を滅ぼす」という週刊誌の連載記事があるようですが、まさにこうした事態が近づいているでしょう。
もちろん、単純に薬の選択を変えればいい、ということではありません。医療にはもっと根源的な問題が潜んでいます。
医療現場にも痛みを伴う構造改革が必要でしょう。